2018年センター試験国語問題の現代文・古典を読む

受験・勉強

2018年(平成30年)のセンター試験・国語問題に出典された現代文・古典の作品を紹介します。近年、サブカルをテーマとした題材を扱うなど受験生以外からの注目度の高かったセンター試験国語問題ですが、今年は抑え目・安定感のある「まじめな」作品が選ばれたようです。さっそく見てみましょう。

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第1問:有元典文・岡部大介『デザインド・リアリティー集合的達成の心理学』

 

「これから話す内容をどの程度りかいできたか、後でテストをする」

この一文ではじまる部分を引用しています。

国語テストを開いて、真っ先に飛び込んでくる文章としてパンチがありますね(;^_^A

私たち人間の生活にある【デザイン】について、デザインが起こすさまざまな変化ー物理的変化、アフォーダンスの変化、ふるまいの変化、こころの変化、現実の変化ーに無意識でありながらも、次の新しいデザインを常に生み出している。記憶や心さえも、常に変化を与えられデザインされているともいえるのかもしれませんねいえるのかもしれませんね。

問題の中では、文中の箇所について4人の生徒が話し合っている場面を設定し、本文の内容をふまえて、会話中にあてはまる文章を選ぶという問題もありました。

第2問:井上荒野「キュウリいろいろ」『キャベツ炒めに捧ぐ』より

ここ数年はマニアックな作品が続いた小説でしたが、今年は井上荒野さんの『キャベツ炒めに捧ぐ』に所収されている「キュウリいろいろ」でした。
現代の家族を描いた物語なので、読みやすかったのではないでしょうか。
35年まえに息子をなくした郁子。以来、夫婦ふたりで暮らしてきた夫も亡くなり、郁子ははじめてひとりのお盆を迎えるところから物語ははじまる。
息子の名前が「くさwww」というツイートもにぎわったが、「草」(そう)とふりがなもついてますからね。くさじゃないよ。

キュウリに楊枝を刺して馬に見立てたものを仏壇に飾り、夫の同級生からの依頼で、名簿に載せるための写真を選び、ながめているうちに郁子は、夫を責めたいつかの自分の姿を思い浮かべるのだった。悲しみの中にありいさかいや喧嘩も多かった夫婦の暮らしの中にも、夫との幸福な瞬間もあったことを思い起こされるのであった。

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第3問:『石上私淑言』

「いそのかみのささめごと」と読みます。

江戸時代中期の歌論書。本居宣長が和歌の本質や起源について述べた「歌とは…」について書かれた書物。問答に自身の見解を述べるというもの。

「恋の歌が多いのはなぜか」という問いに対し、本居宣長が答えます。

キーワードは「あはれ」

古語において一番重要なキーワードでもあります。

「しみじみとした趣」「しみじみとわき上がってくる気持ち」などを意味します。

「しみじみ…」というところが大事です。夕暮れをながめふと寂しくなる気持ちや、愛しいと感じる気持ち。心の中で知らずに育っていた、じんわりと湧き上がってくる感情。

本居宣長は、以下のように答えます。

「恋はすべての趣よりもひいでていて、深く心にしみる、大変しみじみとした趣のあるもの」と。

さらに、「世間の人々は色恋ごとよりも、常に深く繁栄や財産を求める心こそ願っているのに、どうしてこうしたことは歌に詠まないのですか」という質問に「それは『情』と『欲』の違いである」と答えます。

「それぞれの心に思うものはすべて『情』。
その中で『こうありたい』という思いが『欲』。
情も欲も同じようなものだけど、欲には、花のうつくしさや鳥の音色に涙を流すような深さはない。

歌は情から出てくるものである。

情は、生きとし生けるものの逃れられない思い。ましてや人は、特に趣を知るものであるから、心に深く染みてしみじみとした思いを抑えられないのが、この感情なのだ。」

歌を生み出すものは「あはれ」の感情であり、「あはれ」の中でも最も「あはれ」なものこそ恋である、ということでしょうか。

ちなみに、『万葉集』第三巻の「酒を誉めた歌」のように、中には「欲」を詠んだ歌もあるよ。けど、分別なくみっともない感じで心惹かれない、ってさ。何の見どころもない!とばっさり。

本居宣長さんには、欲の歌はとことんお気に召さなかったようです。

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第4問:李燾(りとう)『続資治通艦長編』

「ぞくしじつがんちょうへん」と読みます。
中国、北宋の歴史書。北宋太祖から欽宗の9代167年を年代に添って編年体で記述される。
司馬光の『資治通艦』に続く史書として編纂されたようです。

嘉祐は禹偁の子である。普段は、愚かであるが寇準は嘉祐が決して愚かな人物ではないことを知っている。寇準は開封府の知事を務めていた。寇準が嘉祐に朝廷に入り宰相の位につくことについて問いかけた。
嘉祐は皇帝と宰相の関係を考慮し、こう答えた。「もし寇準が皇帝と親密な関係になれば太平は実現されず、人々の期待は失われる。そうなれば、寇準の名声は失われるだろう」
これを受けて寇準は、嘉祐をこう評します。
「元之(嘉祐の父・禹偁)は文章が天下一であるというが、見識の高さと思慮深さでは嘉祐に敵わない」

現代っ子ならば「誉めるのにいちいち親父と比べないで~」って感じかしら( *´艸`)

さしあたりざっくりと読んでみました。

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