あまんきみこ初のエッセイ集『空の絵本』

あまんきみこ『空の絵本』
  • 小学校高学年から大人にもおすすめエッセイ集
  • のんびりしたいときに
  • あまり本は読まない人や朝読書にもおすすめ

空の絵本

あまんきみこさんは、タクシー運転手・松井さんと不思議なお客様との物語「車のいろは空のいろ 白いぼうし (新装版 車のいろは空のいろ)」や「ちいちゃんのかげおくり (あかね創作えほん 11)」などの代表作で知られる児童文学作家。

国語の時間に教科書で読んだり、図書室から本を借りて読んだり、一度はあまんさんの物語とどこかで出会っているのではないでしょうか。

わたしも子どものころにあまんさんの物語を読みました。そして自分がお母さんになり、今度は自分の子どもたちと一緒に読み返してきました。そんな思い出があるからでしょうか、あまんさんの物語をには、どこかにしまい込んでいたあたたかい思い出を懐かしく感じさせてくれるような不思議な魅力があります。

『空の絵本』は、児童作家あまんきみこさんのはじめてのエッセイ集です。

出版されたのは2008年。あまんきみこさんは、1931年生まれの作家さん。わたしが生まれる前からもう40年も子どもたちのための物語を書き続けています。これがはじめてのエッセイ集だなんて、なんだか不思議な感じがします。

ここにおさめられているのは、これまでにどこかしらで発表されてきたあまんさんのエッセイをまとめたものです。1900年代から2006年までに書かれたものが中心です。

小学校1年生の春、通学路で見つけた花摘みに夢中になり遅刻したことやおかあさんとの台所でのあじみのお手伝いの記憶。優しいお母さんとの原体験の風景。

どれもが、まるであまんさんの物語に出てくるような心をほんのりとあたためてくれるエピソードばかり。ひとつ読み終えるごとにほっこりとした余韻に包まれます。

中でも、多いのがお母さんとのエピソードです。ひとりっ子で優しいお母さんとの思い出が多いあまんさんですが、十代で母を亡くした時の悲しく切ない思いは胸に迫ります。中学生や高校生はもちろん、いま「おかあさん」の人にも手に取って欲しいエッセイ集です。

ブックデータ

単行本: 63ページ
出版社: 童心社
ISBN-13: 978-4494021376
発売日: 2008/3/1

**もくじ**
花を摘む/天気予報/自転車をおりる/ 秋がくると/あじみの手伝い/原風景/思いだすままに/花びら笑い/一冊の絵本から/幼ものがたり/夢、あれこれ/うつむきながら/空の絵本
*******

小学校国語教科書でおすすめ
光村図書小学6年生国語教科書

あまんきみこさん初のエッセイ集。
松成真理子さんの絵もほっこりとします。表紙のデザインもすてきですよね。
朝読書にもおすすめ
いくつかの短いエピソードで仕上がっているので、朝読書のような短い時間に一編ずつ読むのもおすすめです。わたしは、寝る前にひとつづつ読みます。ぐっすり眠れます。

著者プロフィール

あまんきみこ

1931年、旧満州に生まれる。

19歳で婚約し、高校卒業と同時に結婚。その後、日本女子大学児童文学学科(通信)で学び、卒業。与田準一と出会い、児童文学の道へ。坪田譲治主宰の「びわの実学校」に投稿。1968年、「びわの実学校」の発表作品を集めた『車のいろは空の色』を出版し、日本児童文学者協会新人賞、野間児童文芸推奨作品賞を受賞。その後も子どもたちに愛されるたくさんの物語を発表。2001年紫綬褒章受賞するなど、日本を代表する児童文学作家さん。

【主な受賞歴】

1968『車のいろは空のいろ』 第1回日本児童文学者協会新人賞 野間児童文芸推奨作品賞

1979 『ひつじぐものむこうに』産経児童出版文化賞

1983『ちいちゃんのかげおくり』小学館文学賞

2004『きつねのかみさま』日本絵本賞

2016 第51回 東燃ゼネラル児童文化賞 ほか受賞多数

 

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