乙一『暗黒童話』

こわい | ミステリー | ライト文芸

  • 中学生・高校生に
  • 乙一さん初のホラー長編小説
  • こわい本が読みたい人におすすめ

左目が映し出す他人の記憶


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高校生の白木菜深(なみ)は、不慮の事故で左目を失い、これまでの記憶もすべて失ってしまった。

かつては、成績優秀で運動もピアノも得意、明るくクラスの人気者だった菜深。記憶をなくしてしまった菜深の姿は、以前とは違ってしまった。学校へ行っても、最寄りの駅名も、簡単な勉強もわからない。友だちや家族との接し方も…。以前は自慢の娘だった菜深とは違いすぎる今の菜深に、父も母もどう接していいのかわからないようだった。

ある日、左目の移植手術を受けた菜深。手術は成功し視力を取り戻すのだが、やがて、その左目は、見たことのない映像を勝手に映し出すようになる。

ブランコに揺れ微笑む少女、森の中の錆びたレールとうち捨てられた古い車両…それは菜深のものではない、だれかの記憶。その記憶は、菜深の心に温かさや悲しみを与える不思議で新しい出来事だった。

左目が見せる記憶の中で、菜深は眼球の元の持ち主の名前を知る。

「冬月和弥」

やがて、左目はある事件にかかわる記憶を映し出し…。


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乙一さん初の長編小説。

移植を受けた眼球が以前の持ち主を映し出し、その映像がある少女の誘拐事件へとつながっていく。それだけでも怖いのに、この誘拐事件の犯人の行動はとても猟奇的で、事件は思いがけない恐ろしい展開に向かっていく。グロテスクなシーンもあるので、苦手な人にはおすすめしません。

奇抜な発想で描かれたホラー小説というだけでなく、これはあるひとりの少女の成長の物語でもある。周りから求められている自分(本来の菜深)と、それに応えることのできない自分(記憶をなくした菜深)とのギャップ。その中で、迷い戸惑いながら問題にぶつかり乗り越え、自分を見つけていく。菜深がどのようにして、自分と向き合い、自分を受け入れていくのか読んでみてね。

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