山脇由貴子『あの子が部屋から出てこないのはどうしてだろう?』

社会

  • 引きこもりの子どものいる家族を描く
  • 著者はカウンセラー
  • 不登校・引きこもりについて悩んでいる人に
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ひきこもりとどう向き合うか

同じ家に暮らしながら、顔を合わせることのない親子がいる。

だれかとのつながりを拒絶するように、頑なに部屋の中に閉じこもる子がいる。

高校生に行かずもう長いこと部屋に閉じこもっている息子をなんとかしたいと思いながらどうしたらいいのか祐子は困り果てていた。夫の秀二は、息子のことは祐子に任せているようで、どこか無関心なように感じる。

祐子は、思い切ってカウンセリングに電話をかけた。

誰かに話を聞いてもらいたかったのだ。

母親、父親、カウンセラー、それぞれの立場からひきこもりと向き合います。

部屋に閉じこもりきっている息子を家族も放っておいているわけではありません。

なんとかしたいと思いながらも、どうしたらいいのかわからないのです。

毎朝、部屋の前にコンビニのおにぎりやパンを届ける母。

ある日、ちょっとした事件が起こり、母・祐子はケガをして入院してしまいます。

それまで全く息子と向き合うことのなかった父親は、息子にどう接していいのか戸惑います。ひとりで息詰まってしまった父親もまた、カウンセリングのドアを叩きます。

家族に対して決して無関心なわけではなく、父親なりに家族の幸せを考えていることがわかります。家族のために立派な家を建て、家族の幸せのために一生懸命に仕事をがんばっている。それなのに、どうして家族はしあわせにならないのだろうか…。

どんなにすてきな箱を準備しても、大事なのは中に入れる贈り物です。どんなに立派な家を建てても、家族に笑顔がなければ幸せとはいえません。

それでも、カウンセラーの助言を受けて家族が少しづつありのままの息子を受け止めていきます。父親は家族に笑顔を取り戻すことはできるでしょうか。

実は、その答えはここでは語られません。

最後まで、この物語の中に息子は出てこないのです。引きこもりをしている息子が本当はどんな思いを抱えているのか、私たち読者は知ることがありませんが、希望のみえるラストに願いを込めて。

児童相談センターのカウンセラーとして勤務していた著者自身の経験を踏まえて描かれた物語です。「ひきこもり」をしている家族にどう接していいのか、わからず悩んでいるという方に、この本はヒントになるかもしれません。

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