どんなパーティーでも、おわりにかならずおどりをおどるわよね。お菓子の国での最後のワルツは、とりどりの色がきらめきながらぐるぐるまわって、まるで万華鏡のようだったわ。(「くるみわり人形」より)
- 小学校中学年から高学年向け
- バレエが好きな人や、バレエ物語の入門書として
- おとぎはなしが好きな人に
クラシックバレエで演じる恋の物語
*もくじ*
ジゼル/コッペリア/白鳥の湖/眠れる森の美女/くるみ割り人形/火の鳥
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クラシックバレエのルーツは、ルネサンス期に生まれたバロと呼ばれるダンスにあるそうです。物語の世界をダンスで表現し、それを劇場で多くの人が鑑賞する現在のバレエの形になるのは16世紀に入ってから。バレエにはさまざまな決まりがあります。バレエを知らない私には、美しい衣装を着たダンサーがしなやかにおどる姿をながめているだけで「ほぅ」っとため息が出る。
セリフや歌がないのは、バレエの特徴のひとつ。物語の世界を体を使ったダンスだけで表現する。セリフがないだけに、鑑賞する時には、どんなお話か内容を知っておくと、うんとバレエの世界が楽しめるはず。
『バレエものがたり』には、6つの有名なバレエ作品のもととなっている物語を収録。
バレエ作品には、おとぎばなしをもとにした作品が多い。おとぎばなしは、英語で”Fairy Tall”(ようせいのおはなし)といいます。バレエ作品には、妖精やお姫様が登場するお話が多い。恋のおはなしもね。
貴族・アルブレヒトがたまたまみかけた村娘・ジゼルに恋してしまう『ジゼル』、狩りにでかけた森の奥で、白鳥に姿をかえられた娘・オデットと恋に落ちたジークフリート。『火の鳥』のイワン王子も、迷い込んだカスチェイの果樹園で囚われの身であるツァレヴナ王女にひとめぼれしてしまう。(それにしても王子たちの惚れっぽさったらない。出会ってすぐに熱い求婚をするなんて、現代ならば犯罪レベル)
彼らは、愛する女性たちを「いま」から解き放してやろうとする。『眠れる森の美女』のオーロラ姫や『火の鳥』のように、成功し幸せなラストを迎える物語もあれば、『ジゼル』や『白鳥の湖』のように引き裂かれる愛もある。
中でも心をとらえられるのは、愛を試すような物語。
もうこの世のものではなくなったジゼルに自分の愛を伝えるために会いに行くアルブレヒト。白鳥の湖では、オデット姫に扮したオディールがジークフリート王子の愛を試すために現れる。
でも、わたしにはできませんでした。もういちど、ジゼルをこの腕にだきしめずにいられません。たとえ死という罰をうけようとも、ジゼルをおどりつづけたかったのです。
愛に揺れる心や愛のはかなさがどんな風に踊りで表現されるのだろうか、と想像しながら読む。プロのバレリーナを見たことのないわたしには想像もつかないが。
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単行本(ソフトカバー): 144ページ
出版社: 岩波書店
ISBN-13: 978-4001142044
発売日: 2011/2/17