立山道雄『ビルマの竪琴』

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彼らはいつも歌っていた

彼らはいつも歌っていた。

日本を離れ、遠くビルマの戦線へと運ばれてきた彼ら。

嬉しいときはもちろん、異国の地で苦しい戦況の中も、「もうだめだ」と絶望に襲われそうな日も、いつ死ぬかわからない不安な時も、いつも歌っていた。

この一団の隊長は、音楽学校を出たばかりの若い音楽家だったというのもあるだろう。それでも、歌がこれほどみんなを励まし、慰めになり、時にはひとりの青年の人生さえも大きく変えてしまうものだということを、この若い隊長は知っていただろうか。

隊の中に、水島という青年がいた。水島は隊に入ってから音楽を知り、音楽に魅了された。自分で楽器を作り、合唱に合わせて伴奏を奏でる。

ろくな物資などあるはずもなく、それでも、葦や竹を切って穴をあければ吹奏楽器に、木枠に動物の皮をはって鼓(つづみ)にしたり、中でも立派にできたのが、竹や針金を弦にして作ったビルマ人の竪琴をまねた楽器である。水島の奏でる竪琴の伴奏に合わせ、彼らはお得意は「はにゅうの宿」を三重唱四重唱で歌いあげた。ここまできたらもう合唱団である。

水島は、不思議とビルマ人に似たところがあり、ルーンジという腰巻姿で竪琴を抱えている姿は、ビルマ人そのもののようだった。

水島の風貌と竪琴に、隊は何度も救われるのだった。

国を越えて響く歌声

ある日、終わりは唐突にやってきた。ビルマの村で、イギリス兵に囲まれたのだ。

お互いに姿は見えないものの、その気配を感じ、今にも戦闘が始まろうかという緊迫した状況の中。森の中から、イギリス兵の歌声が聞こえてくる。「スイート・ホーム」と歌うその曲は、先ほど日本兵が歌っていた「はにゅうの宿」の英語バージョン。続いて「庭の千草」と同じ節の「ザ・ラースト。ローズ」が流れる。

イギリス兵も日本兵も、心は同じ故郷をなつかしみ、家族を思い、やがて、ふたつの国の兵士たちは涙を流し一緒に歌いはじめる。物語の中でも特に印象的なシーン。

そうして隊は降伏し、イギリス兵の捕虜となるのだが、その後、彼らは日本もまた降伏を受け入れたのだということを知る。

捕虜なって数日。水島は、山に立てこもり戦闘を続けている日本兵を説得するために、戦地へと向かうことになる。役目を終えたら、仲間たちの待つ収容所で合流を約束するが、長いこと待っても水島は現れなかった…。

 

やがて、捕虜となった人びともみな家族の待つ国へと戻るときがきた。まもなく収容所を離れるというその時、彼らの前にひとりの層が姿を現した。肩に青い鸚鵡(おうむ)と竪琴を乗せたビルマの僧。それは、紛れもない水島だった。

 

男は、この国に留まることを選ぶ。彼が、そうした理由はなんだろう。

戦争に命を奪われ、生きた証を残すことの叶わなかった人たちがいる。

骨となり異国に戻ることのできない人たちがいる。

レクイエムは、生きていくものたちのための救いでもある。

発表当時は「児童向け」として書かれた作品ですが、小学校高学年でもこのままは読みづらいかもしれません。中学生におすすめ。

映画「ビルマの竪琴」

 

1985年映画化。

監督:市川崑

出演

水島上等兵:中井貴一

井上隊長:石坂浩二

中井貴一さんが水島のイメージにぴったりでした。

1956年にも市川崑監督、三国連太郎主演で映画化され、ヴェネツィア国際映画祭サン・ジョルジョ賞受賞しています。

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