米澤鐡志『ぼくは満員電車で原爆を浴びた 11歳の少年が生きぬいたヒロシマ』

ぼくは満員電車で原爆を浴びた ノンフィクション
小学校中学年から。中学生・高校生にも読んで欲しい
読書感想文にもおすすめ
戦争・原爆を伝えるノンフィクション
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爆心1キロ以内 奇跡の生存者

米澤鐡志さんは1945年8月6日、11歳のときに広島で被爆しました。

当時、米澤さんはお母さんと妹、弟たちと疎開先で暮らしていました。この日は、広島の家へ生活に必要な荷物を取りに行くため、朝早くお母さんとふたりで出かけたのです。原爆が投下された時、米澤さんとお母さんは電車の中にいました。

月曜日の朝の電車はぎゅうぎゅうに混んでいました。

電車が福屋百貨店の前にさしかかった時、強くなにかが光りました。それからすさまじい音。気絶して倒れた人、ガラスが刺さり泣き叫ぶ人で、電車の中はひどい光景でした。電車を降りたふたりはそこで、変わり果てた広島の惨状を目にします。

自分たちの足で立って疎開先まで戻ることのできた米澤さんですが、その後、激しい腹痛や高熱に襲われ生死を彷徨います。奇跡的に命を留めた米澤さんでしたが、一緒に帰ってきたお母さんは亡くなってしまいました。そして、広島で被爆はしなかった小さな妹も・・・。

被爆直後、米澤さんとお母さんは奇跡的に無傷でした。

米澤さんが被爆したのは、爆心から750メートル地点。広島市の資料によると、爆心地から1.2キロ以内にいた人は、その日のうちにほぼ50%が死亡、それよりも爆心地に近い地域では80~100%が死亡と推定されています。

【参考】広島市:死者数について

本書のあとがきによると、半径1キロ以内の生存者は10人以下ではないかとも言われています。爆心地1キロ以内で無傷での生存は奇跡です。

米澤さん見た被爆直後の広島と、のちに米澤さんを襲った苦しみをつづったノンフィクション。

文字も大きくルビ付きで、小学校中学年から読めます。1時間もあれば読み終えることのできる小さな本ですが、小学生向けと思わずに、中学生・高校生にも読んで欲しい本です。

夏の読書感想文にもおすすめです。

電車内被爆者

米澤さんのように電車の中で被爆した人たちを「電車内被爆者」と呼ばれています。

原爆投下時刻、市内の爆心地付近を走っていた電車は14両とされています。1985年「市電己斐行き被爆者の集い」の呼びかけのもとに、米澤さんをふくむ7人が集まったそうです。

電車内被爆者については、本のあとがきでくわしく説明されています。

米澤さんは長い間、語り部としての活動を続けてきました。これまで、書籍化の誘いを断ってきた米澤さんだでしたが、東日本大震災での福島第一原発の事故をきっかけに、自身の体験を本に残すことを決めたそうです。

「人類と核は共存できない」と米澤さんは語ります。原発事故により、核の問題は過去のできごとではなく、これからの問題であると感じたのかもしれません。

この本には、少しでも大きの人に「核」と「戦争」について考えるきっかけにしてほしいという願いをこめられています。

核と原発

福島の原発事故をきっかけに書かれたこの本には、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんから「はじめに」が寄せられています。

愚かさを乗り越えるためには、過去に犯した愚かさをしっかりと知る必要があります。二度と原爆など使ってはいけませんし、戦争だってしてはいけません。どんなにつらい記憶でも、知らないよりは知っておいた方がいいと私は思います。

小出さんは原発事故以来、専門家としての立場から放射線被害の危険性を訴える活動を早くから始めています。『子どもたちに伝えたい―原発が許されない理由』は震災の半年後に出版されたもので、小学校高学年から読めるおすすめの1冊です。

データ付きで、原発について分かりやすく解説してあり、これからわたしたちはどうするべきなのか、考えさせられる内容です。

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