まはら三桃『奮闘するたすく』

まはら三桃『奮闘するたすく』

単行本: 242ページ
出版社: 講談社
発売日: 2017/6/29

  • おすすめ:小学校高学年向け
  • 介護や高齢化社会について考えてみよう
  • 読書感想文課題図書にもなりました

本の紹介(あらすじ)

たすくは小学5年生。たすくのおじいちゃんは元刑事なのだが、そのおじいちゃんの様子がこのごろちょっとおかしい。
自宅の近所で道に迷ったようになったり、やかんをコンロにかけっぱなしにしたり、お風呂の水をあふれさせたり…。
認知症になりかけているおじいちゃんを心配して、お母さんたちはおじいちゃんをケアホームのデイサービスに通うようにすすめるが、おじいちゃんは行きたくないと駄々をこねる。
担任の先生から言われ、夏休みの自由研究で老人ケアホームのことをまとめることになったたすくは、行きしぶるおじいちゃんの付き添いで一緒にケアホーム”こもれび”へ通うことになった。
たすくはここでたくさんの人と出会う。ケアホームのお年寄りたち、介護福祉士の資格を取るためにインドネシアから来たリニさんなど、たくさんの人たちとふれ合いながら、介護について考え始める。

介護の現場をのぞいてみよう

小学5年生のたすくの目線で介護施設の現場を、ほんのすこしのぞいてみるような物語です。おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に暮らしていて、介護について知っている人もいるでしょう。一方、核家族化が進みお年寄りと暮らすということがピンとこない小学生も多いのではないでしょうか。

介護の現場ではいまどんな問題を抱えているのか。お年寄りのみなさんはどんな風に接してほしいと考えているのか。小学生が高齢化社会や介護について考えるきっかけとなる入り口としてぴったりの物語です。

例えば、本文でも出てきますが、今、インドネシアでは、日本で国家資格を取ることを勧めています日本、インドネシア、フィリピン、ベトナムの三国と結んでいる経済連携協定により、この三国からの研修生は多い。この経済連携協定で、日本への受け入れが定められている職業は看護師と介護です福祉士です。

四年間、介護施設で研修したのち、国家資格を受ける。試験は日本語で二回落ちたら、すぐにインドネシアに帰国しなければりません。ここでも複雑な問題が生まれています。

きになる人は、さらに調べてみるのもいいですね。

ブックデータそういう

受賞歴など
2018年第56回全国青少年読書感想文コンクール課題図書
国語入試問題に出た本
まはら三桃さんの小説は、中学校、高校の国語入試問題によく出典されています。こちらの作品も私立中学校国語入試問題に出典されました。
【2018年】明治大学附属中野中学校・栄光学園中学校

著者プロフィール

まはら三桃

1966年福岡県北九州市生まれ。

2005年「オールドモーブな夜だから」で第46回講談社児童文学新人賞佳作を受賞。『カラフルな闇』とタイトルを改題しデビュー。

2011年『鉄のしぶきがはねる』で坪田譲治文学賞を受賞。中高生を主人公にした児童文学は国語入試問題にも多数出典。小学校高学年から中学生におすすめの作家。

この本もチェック

↓ 同じ作家の本を読みたいなら ↓
面白かったらこの本もおすすめ