君、吹奏楽部に入らないか?~中沢けい【楽隊うさぎ】

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はんぶんあらすじ&レビュー

「君、吹奏楽部に入らないか?」
「エ、スイソウガク!?」

克久はおっとりしていて思慮深い少年、よく言えば。逆を返せば、憶病ではっきりしない。学校では、ハブられたりもする。克久の中には、いつからか心の壁を塗り固めるのが上手な左官屋がすみついている。

そんな克久だから、できるだけ学校にいる時間を短くしたいと思っていたはずなのに、なぜか部活時間の一番長い吹奏楽部に入部してしまう。

意地の悪い男子からハブられる。
ハブは、ハブかれている→省かれている→省略されている、ということ。祥子ちゃんに言わせると、「シカトは無視。ハブは省略。意味は違う」のだそうだ。

そんな祥子ちゃんは、克久に言わせると、変わっていていじめられるタイプの女の子。あまり一緒にいたくないのだが、ふたりはパーカス担当。

中学生の心の中には、いろんなものがすみつきやすい。望まずとも、あれこれと引きよせてしまうのも彼らの特性か。迷いや悩みは隙を作るのかもしれない。克久の心の中には、気がつくといつか公園で見つけたうさぎが入りこんでいて、ちらちらと顔をのぞかせる。

何かを決断しなければならないことも、母親と口論になることもある。広い世界に放り出されたかのような無限のプレッシャーにたったひとりで押しつぶされそうになることもある。

最後の大会を終えた、有木部長のこんなセリフがある。

「負け惜しみと思われてもいいけど、もうこれから、絶対にこういう音は作れないと俺は思うんだ。うまい演奏とか深い演奏はこれからもできるけど、こんな真剣な音はきっとこれが最後だと」

ドラマティックでもなければ完ぺきでもない、彼らのいましかない躓きや葛藤は、淡々とした毎日の中でだれにでも訪れる。ただただ進み、後ろを振り返ると階段が続いている。いつのかにか明るい場所に来ていたことに気づくはずなのだ。

著者・中沢けい

1959年10月6日生まれ。千葉県館山市出身。18歳の高校在学中に書いた『海を感じる時』で群像新人文学賞を受賞しデビュー。映画も好評で、いつか見たい作品です。

その後『水平線上にて』で野間文芸新人賞受賞。

中沢けい公式サイト「豆畑の友」

国語教科書で紹介

BOOKS雨だれ東京書籍中学校2年生国語教科書

BOOKS雨だれ光村図書中学校3年生国語教科書

BOOKS雨だれ三省堂中学校3年生国語教科書

映画原作

2013年劇場公開

監督:鈴木卓爾

花の木中吹奏楽部のメンバーには、オーディションで選ばれた中学1年生から高校2年生までの44人が出演しています。

吹奏楽部顧問役に宮﨑将さん、うさぎ役に山田真歩さん。映画ではうさぎも役者さんが演じているんですね( *´艸`)

映画「楽隊うさぎ」公式サイト