青柳碧人『浜村渚の計算ノート』~数学テロVS数学少女

青柳碧人「浜村渚の計算ノート」表紙とPOP
  • 天才数学者・高木源一郎VS数学大好き少女・浜村渚(中2)の数学対決!!
  • 数学がもっと身近になる!謎解き数学ミステリー
  • 第3回「講談社Birth」小説部門大賞

日本中を巻き込む数学テロが発生。立ち向かうのは中学生の数学大好き少女。数学が日本を救う⁉数学が好きな人はもちろん、数学が苦手な人にもおすすめしたいシリーズです。

本の紹介とレビュー

天才数学者・高木源一郎を主導者としたテロ組織「ドクター・ピタゴラス」は、日本国民を人質にした大規模な数学テロをはじめた。

高木源一郎の要求は、ただひとつ。

「義務教育における数学の地位向上」

急増する少年犯罪の原因が教育内容にあるという論文が発表され、文部科学省は小中学校における教育内容を一新。心を伸ばす教科が重視され、理科や数学などの科目は大幅に減らされた。

「数学の価値をもう一度見直してほしい」

高木の思いとはうらはらに、数学教育は「殺人鬼を育てる学問」として学校教育から完全に排除された。

一年後、長野県のとあるマンションでひとりの男が絞殺死体で発見された。現場に残されたカードには、二枚の三角定規をかたどったシンボルマークが記されていた。

これが「ドクター・ピタゴラス」連続テロ事件の幕開けだった。

無作為に選ばれているように思われる事件の被害者たちにどんなルールがあるのか。

警視庁に設置された「黒い三角定規・特別対策本部」が、テロに対抗するため探し出したのは中学2年生の数学大得意少女・浜村渚。

彼女は、おもむろに地図を広げると蛍光マーカーで色を塗り始めた。

天才数学者が次々と起こす難問に数学少女・浜村渚は立ち向かい、日本を救うことができるのか!?そして、日本の数学教育はどうなるのか!?

中学生に絶対おすすめしたい新感覚の数学謎解きミステリー。

数学と言えば公式や複雑な計算を思い浮かべる人が多いと思うけど、この小説には難易度の高い難しい公式や計算は出てこないから安心して。渚が最初に取り組む事件は、地図と蛍光ペンを使って解決しちゃう。数学の中で重要な数字である「0」についてわかりやすく教えてくれたり、どこまでも割り切れない円周率の奥深い魅力について語られる。

数学の基本は、問題を解決するためのものの見方や考え方にあることを、この小説は再確認させてくれる。難しい数学の知識がなくても、楽しめる内容です。

中学生に楽しい数学を

「この国の子どもたちに、もう一度、楽しい数学を」

天才数学者・高木源一郎がテロの犯行予告の中で語るこの言葉に、著者がこの本に込めた思いがあらわれている。

著者の青柳碧人さんがこの本を書こうと思ったきっかけは、中学生からのあるひとこと。
「数学の勉強にどんな意味があるのか」

本当の意味での初心者向けであり、かつ数学への愛に満ち溢れており、できれば読んでいるうち数学の知識が身につく作品が読みたい!!という思いをこめてこの作品を書いたそう。

もくじには「log」や「√」という数学用語もちりばめられており、数学好きなら「おっ!」と思わせる遊び心がある。数学がわからない人にも「これなんだろう?」と興味を引き付ける楽しさも。読み終えた後は、数学がもっと身近に感じられるはず。

キーワード

数学・謎解き・ライトミステリー・朝読書におすすめ・中学生におすすめ

おすすめポイント(受賞歴など)

中学生、高校生におすすめです。算数の基礎知識だけでも小学校高学年か読めます。「ふむふむ、なるほど~」と楽しんでみてください。

受賞歴など

第3回「講談社Birth」小説部門大賞受賞

朝読書にもおすすめ

『浜村渚の計算ノート』は、(株)トーハンが毎年行っている朝の読書人気本ランキング中学生の部で3年連続ランクインしている、朝読書の人気本です。

数学をテーマにしたミステリーは、学習に向けての切り替えと集中力のための読書本としてぴったり。

本をチェックする

出版社 : 講談社
発売日 : 2011/6/15
文庫 : 296ページ

コミカライズ化、シリーズも続々刊行されています。ドラマ化したらおもしろいと思うんだけど。

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