藤岡陽子『晴れたらいいね』

中学生・高校生に読んでほしい
戦争・平和について考える物語

高橋紗穂は東京で看護師をしている。

ある日、勤務中に病室で大きな地震に襲われ気を失う。目を覚ますと、そこは太平洋戦争真っただ中にあるマニラだった。

紗穂はそこで「雪野サエ」として日赤の従軍看護婦となっていた。

どうすれば、元の世界に戻ることができるのか。

あと一年で戦争が終わることを知っている紗穂は「雪野サエ」として仲間とともに傷つき倒れていく兵士たちの看護を続けるが、戦いはどんどん激しくなっていき…。

タイトルの「晴れたらいいね」はDreams Come Turuの曲名より。

くたくたになって歩き、マニラからバギオに到着したサエた。最後の上り坂でみんなに「何か歌って」と言われサエが歌ったのが、この歌。

平成からやってきたサエにとってはなじみの歌だが、みんなにとっては未知のこの歌が、故郷の懐かしい景色を呼び起こし彼女たちに力を与えてくれるのです。

日本の兵士がひとり死んでも、敵の兵士をふたり殺せばその戦いは勝ちになる。

五人死んでも五人殺せば、引き分けになる。

それが戦争です。

でも、私たちにとっては命を救うことを仕事にしている看護婦にとっては

死に引き分けなんてありません。

一と一の死は二であって、五と五の死は十になります。(本文より)

武力や暴力で白黒をつける戦争は「勝ち」だけが価値になる。

しかし、無傷で戦える戦争などありはしない。

どんな勝ちにも犠牲が伴う。だれかの命と引き換えにしても守らなければならない信念は必要だろうか。

命を捨てて戦うことを求められる戦場で、命を救う使命を背負った彼女たちのやるせなさと懸命さに命の重さについて考えさせられる。

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おすすめポイント

第二次世界大戦を舞台に描かれた物語ですが、現代の女性が主人公なので、戦後生まれの自分たちの目線で読めるのがポイントです。

「戦争は悪い」わかっているけれども、戦場でその声をあげることに意味はない。それならば、自分がいまやるべきことはなにか。戦争が失うものの大きさと命の大切さを伝えてくれる1冊です。

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