松本 祐子『8分音符のプレリュード』

『8分音符のプレリュード』
  • 小学校高学年から中学生向け
  • 吹奏楽・音楽をテーマにした小説
  • 読書感想文コンクール課題図書

音楽がつなぐふたりの少女

果南は中学2年生。
吹奏楽部に所属し、クラスでは学級委員をしている優等生。
果南のクラスに転校してきた透子。学級委員として透子を気遣う果南だが、クラスにまったく馴染もうとせず人を寄せ付けない透子。

天才ピアニストと呼ばれていた透子は、指のケガが原因でピアノをあきらめ、この学校に転校してきたのだった。

ふたりとも、とてもプライドが高い。

できない自分を認められない。

優等生キャラの主人公・果南は、これまで大きな挫折を味わうことなく「それなりにそつなく」こなしてきたけれど、透子に出会い、はじめて努力しても追いつくことのできない才能があることにショックを受ける。
ピアノの天才と言われた透子もまた、ケガによりこれまでのようにできないことにショックを受け、そんな自分を拒絶していまう。

ふたりとも「できない」自分をうまく受け止められずにもがいているのだ。

こうした思いを抱くのは、なにも優等生や天才と言われるような人ばかりではない。できないことをやって、うまくできずに恥ずかし思いをしたくない、というのはみんな同じ。

では、思うようにできない自分の努力は無駄なのでだろうか。果南は天才と呼ばれる透子に憧れと嫉妬の気持ちを抱き心を揺らす。その果南の姿に心を動かされるのが、透子だったりする。

ふたりの女の子が音楽を通じて見せる友情の行方は…。

ブックデータ

【2009年】第55回全国青少年読書感想文コンクール課題図書(中学校の部)

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