平和のバトンをつないで―広島と長崎の二重被爆者・山口彊さんからの伝言

戦争と平和

  • 小学校高学年・中学生におすすめ
  • 戦争・平和について考えるノンフィクション
  • 広島・長崎の原爆の本
  • 読書感想文にもおすすめ

広島と長崎で二度被爆をした人たち

二重被爆という言葉を知っているだろうか?この本ではじめて知り、とても驚いた。

一九四五年八月、山口彊さんは原爆の被害にあっている。それも二度。

その日、広島を訪れていた山口さんは、原爆投下に遭遇し大やけどを負う。その数日後、長崎に戻った山口さんはそこで同僚たちに広島で体験した恐怖を伝えていた。その時、再びきのこ雲の惨状を目のあたりにする。山口さんは、広島と長崎の両方で原爆に遭遇している。そんなことって本当にあるのだろうか!?

原爆投下の悲惨な状況すら、信じられないと嘆くような光景だったろうに、それを数日間で二度も体験する恐怖には私の想像は追いつかない。山口さんは「きのこ雲に追いかけられている」と感じたという。

二重被爆を経験した日本人は、ほかにも数名いるという。

長いこと、その事実を語ることのなかった山口さんだったが、二度と核による被害をもたらしてはいけないと、90歳で語り部となった。

それまで日本でも、二重被爆についてはあまり知られていなかったそう。それは、原子爆弾の悲惨な現状を伝えたいという思いを抱えながら、家族の意向を尊重して、山口さん自身が多く語らなかったためでもある。原子爆弾の与える影響は、その時ばかりのものではなく、後世に残される人たちの心にも大きな影を落とす。

当事者の方たちの心の中には、戦争を語りたくない思いと、後世のために伝えなければという思いの大きな葛藤がある。体験を語るということそのものにも、強い意志が必要なのだということにも気づかされる。

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