花愛でる小さなものたち~朽木祥『引き出しの中の家』

引き出しの中の家
  • 小学校高学年から中学生の女の子におすすめ
  • 花や自然、手作りが好きな人に。ほっこりファンタジー

小さな「花明かり」のファンタジー

大好きだったお母さんが亡くなり、新しいお母さんと暮らしはじめた七重だったが、新しいお母さんとは少し気が合わず、体が弱いこともあり、亡くなったお母さんの実家である津島のおばあちゃんの家で暮らすことになった。

ある日、七重はおじいちゃんから聞いた”花明かり”と呼ばれる、妖精のような小さな人の話を聞く。

かつて花明かりはそこら中にいたが、だれでも目にすることができるわけではなかった。樹木をていねいに手入れするもの、草花を大事にする者、それに小さな子どもたちが、常ではなかったが、たまに見かけることができたのである。(p37)

花明かりは、とても小さい人間にそっくりな姿をしている。幼いうちは嬉しいことがあると花の香りを発し、成長した花明かりは喜ぶと明かりを灯したように光を発する。花明かりがいると花が見事に咲き乱れ、果実はたわわに実り、緑は濃く深くなるのだという。

七重は机の引き出しの中にウサギのピョンちゃんのための家を作って遊んでいたのだが、ある日、この引き出しの家になんと!?小さな女の子がやってきた。

そして40年後、この家にやってきた女の子・薫もまた、ふしぎな小さな女の子・桜子と出会う。

言い伝えの小さな妖精「花明かり」と女の子たちの、時代を超えたファンタジー。

小さな花明かりのために七重が作ってあげる小さなスリッパや、薫が作るクッキーなど、かわいくておいしそうなものがたくさん出てきます。それを見て喜んでいる花明かりたちがとってもかわいい( *´艸`)

ジブリ映画「借りぐらしのアリエッティ」は、メアリー・ノートンの『床下の小人たち』を原作としていますが、『引き出しの中の家』に出てくる、花明かりたちは和製アリエッティと言えるかも。

小さいものやおいしいものが大好きな女の子におすすめしたい。小さいころを思い出して、懐かしく、ほっこりします。

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