エレナー・エスティス『百まいのドレス』~女の子に

『百まいのドレス』 児童書
女の子特有のいじわるを描いたアメリカの児童文学。
小学校中学年から読める短いおはなしです。高学年・中学生にも。
ストロボドキンのイラストがすてき
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いじわるするつもりじゃなかった

女の子同士って、ほかの子よりもちょっとだけ優位でいたいって思う生きもの。本当に求めているものが何なのか、自分自身もわかっていないことが多いのです。失ってから気づくことも…。

貧しいポーランド人の女の子ワンダは「百まいドレス」を持っていると言い張ります。ペギーやマデラインはそれをウソだと知りながら「何まいドレスを持っているの?」と聞いては、毎日ワンダをからかっていたのです。ある日、ワンダは突然学校に来なくなってしまいます。ペギーとマデラインは、勇気を出してワンダの家を訪ねました。そこでふたりは、思いがけないものを見つけるのです。

 

そして、もう彼女に「ごめんね」を言うことはできないってことも知ります。

これからはいつまでも、ワンダと百まいのドレスのことで、みじめな思いをしつづけるのかしら、とマデラインは考えました。もう、何をしても、安らかな気もちになんてなれないような気がしてきました。何か、たのしいこと―ペギーといっしょにヤマモモをつみにいくとか、バーレー丘で雪すべりをするとかいうような、何かたのしいこと―を考えようとすると、すぐに、ああ、じぶんはワンダ・ペトロンスキーを町からおいだしてしまったのだ、というできごとに、ゴツンとぶつかることになるのです。(65ページ)

 

ワンダ、マデライン、どちらかと同じような経験をしたことがある人は多いのではないかしら。(特に女の子なら)私もそう。マデラインの思いに心がきゅーっとしました。ワンダを守り、マデラインを責めるのではなく優しく導いてくれる、まるでおかあさんのように見守ってくれるような文章に、きっと共感しながら読めるはず。

訳・石井桃子さん

1954年に岩波書店の絵本シリーズの1冊として出版された「百まいのきもの」を五十年ぶりに石井桃子さんが改訳されました。小学校高学年からおすすめです。中学生ならすぐに読めてしまう長さです。

石井さんのあとがきより
むずかしい言葉をひとつも使わずに、どこにでも、だれにでも起こりうる、人々のあいだの差別や、心の葛藤を、作者のエレナー・エスティスは、勇気をもって描いています。

ルイス・スロボドキンさんの淡い絵が、物語を作っているようにも思います。ドレスが描かれた見開きのシーンは、読みどころ。

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