イクバルと仲間たち―児童労働にたちむかった人々

社会

子どもが使うべきなのはペンで、仕事の道具ではありません。

これは強制児童労働に立ち向かったパキスタンの少年の真実の物語。

働かされる子どもたちの実態

イクバルはパキスタンの少年です。 本当の年齢は、彼自身も知りません。中学生くらいでしょうか。 でも、同じ年頃の子どもに比べると、とてもやせていて小さい男の子です。

イクバルは、家族の借金を返済するために4歳からじゅうたん工場で働かされていました。 こまかな糸くずや繊維のほこりが宙にただよう中、そのほこりを吸い込みせき込みながら。少しでも休むと、さぼっているといってなぐられます。罰金を科されることもあります。そうするとますます借金が増えます。

じゅうたんを織るためのナイフを誤って指に突き刺したこともあります。 その時親方は、じゅうたんが汚れることを怒り、血を止めるために傷口に熱い油をたらしました。そして、すぐに仕事に戻らなければなりません。

ほんの少しのご飯と豆の食事で、朝の4時から夜の7時まで働きます。 そうして、イクバルが稼ぐのは1日たったの1ルピー(約2.6円)。

世界の中には、こうした強制児童労働を当たり前だと考えている国がまだあります。 かつてヨーロッパでもアメリカでも日本でもそうした時代があったことは事実ですが、21世紀の今でもまだあります。

子どもが使うべきものはペン、仕事の道具ではない

イクバルは、そうした厳しい環境で強制的に働かされている子どものひとりであり、彼らの代表でもありました。 勇気のある行動で、イクバルは1994年に人権活動を支援するリーボック人権財団から「ユース・イン・アクション」という賞も受賞しました。イクバルは、次のように語ります。

「子どもが使うべきものはペンで、仕事の道具ではありません」

残念ながらイクバルは、不慮の事故により12歳で命を奪われます(これが不審な事故でもあり、本書でも詳しく書かれています)が、彼のおこしたアクションは、次の活動へとつながっています。

イクバルをはじめ強制的に働かされている子どもたちの環境の過酷なこと。 実は、この状況に私たち日本人も無関係ではありません。 児童労働をなくすためのアクションのひとつは、私たちにもできる簡単なことです。 正しくは、「する」のじゃなくて「しないこと」なのだけれど。

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