辻村深月『かがみの孤城』〜学校に行けない中学生たちのミステリーファンタジー

辻村深月、かがみの孤城
【BOOKS雨だれ】中学生におすすめ50冊!
不登校の中学生たちのファンタジーミステリー
2018年本屋大賞受賞!

みんながふつうにできていることができない自分は、どこかおかしいのだろうか。中学生は学校に行かなくてはいけない、なんて誰が決めたんだろう。

安西こころは中学1年生。中学校に中学したばかりだというのに、学校に行ったのは最初の4月だけ。朝、学校に行く時間になるとおなかや頭が痛くなるのだ。仮病ではない。本当に痛くなる。そうして学校を休んでしまう。

そんなこころにお母さんは何も言わない。言わないけれど、本当は学校に行って欲しいと思っているのはわかる。

行けない理由はわかっている。

こころは「真田さん」がいる教室には、もう絶対に行けない。

お母さんは「真田さん」のことも何も知らない。

5月のある日、こころは部屋にある大きな楕円形の鏡が光っているのに気付いた。内側から発光しているかのようにまばゆいほどの光に誘われ、鏡に手を伸ばした瞬間、こころはそのまま中に引きずり込まれてしまった。

気が付くと、そこは鏡の中。

「おっめでとうございまーす!」

目の前には、オオカミの仮面をかぶり、レースたっぷりのドレスを着た小学生くらいの女の子が立っていた。

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隠された”願いを叶える鍵”

大きな窓とそこから左右対称に延びる階段、そして大きた時計。鏡の中の世界は、まるで城のような豪華なお屋敷。そこには、こころを含めた7人の中学生がいた。

狼の仮面をかぶった少女”オオカミさま”は、こころたちを”赤ずきんちゃん”と呼び、城のルールを説明する。

「お前たちには今日から三月まで、この城の中で”願いの部屋”に入る鍵探しをしてもらう。見つけたヤツひとりだけが、扉を開けて願いを叶える権利がある。つまりは、”願いの鍵”探しだ」

ルールは次のとおり。

城が開くのは三月三〇日まで。

朝九時から夕方五時まで。

“願いの鍵”を見つけた人は、願いが叶う。

”願いの部屋”が開いたら、城は消滅し、記憶も消去される。

五時までには鏡を通って家に帰らなければ、恐ろしいペナルティーとして狼に食われる。

ポニーテールでしっかり者のアキ。

ジャージ姿のイケメン男子リオン。

眼鏡をかけたピアノ女子、フウカ。

ゲームが得意でちょっと自慢が多いマサムネ。

そばかすで物静かなスバル。

小太りで気弱そうな男子ウレシノ。

そしてこころ。

なぜ選ばれてここにいるのかはわからないが、どうやら7人には共通点があるらしい。はっきりとは言わないが、たぶんみんな学校に行っていない。

ひとりじゃない

もちろん彼らは、自分の傷口をえぐるような真似はしないから、お互いにそんなことは聞かないし、その理由を無理に知りたいとも思わない。

ここでは「学校に行けないこと」は普通のことで、後ろめたさを忘れて過ごすことができる。いつしかこの城は、彼らにとって「心地よい居場所」となり、お互いが心強い存在になってゆく。

なぜ彼らはここに集められたのか。やがて、彼らには「不登校である」ことのほかにも共通点が見えてくる。もしかしたら、自分たちはい互いに助け合えるかもしれないという可能性。願いの鍵を見つけることができるのはひとりだけ。しかし、彼らはもっと大きなものを手に入れる。彼らに必要だったのは、「ひとりじゃない」勇気かもしれない。

2018年本屋大賞ノミネート作品より、中学生におすすめしたい1冊。

おすすめポイント(受賞歴など)

『かがみの孤城』は本屋大賞をはじめ、たくさんの賞を受賞しています。

■2018年本屋大賞受賞作!

■王様のブランチBOOK大賞1位
■キノベス!2018 4位
■このミステリーがすごい!2018国内賞8位
■埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2017第1位
■第11回神奈川学校図書館員大賞(KO本大賞)

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