山岡ミヤ『光点』~祈りは光をもとめて

山岡ミヤ『光点』
第41回すばる文学賞受賞作
実以子の毎日は、家と工場の往復でしかない。
中学を卒業すると高校へは行かず、町の工業団地の中にある弁当工場で働いている。
父と母との家での暮らしは少し窮屈だが、時折、隣町へ出かけて映画を観たり、日用品を買い求めるのが、ささやかな楽しみだった。
ある日、隣町へ出かけた時のこと。映画館の前で父を見かけた。父は家にいるときには見せない顔で、知らない女の人と親しげに歩いていた。
女の前で手を合わせ祈っていた父の姿を見た実以子は、それ以来、工場の帰りに八つ山に寄り、祈りを試みてた。そこで、ひとりの青年カムトと出会う。
カムトは、実以子と同じ工場団地の中の冷凍庫の中で働いていた。
実以子が纏う揚げ物の匂いに顔をしかめ、尖った言葉を投げつける母。
実以子を責めることはないが、優しいだけでしかない父。
実以子は、そんな不穏さに抗うこともなくすべてを受け入れながら生きているように見えるが、光を求めている。
八ツ山で祈るかたちをつくりながらも、実以子は、それが「祈り」とは別のものだと感じている。
正しいかたちで祈ることと、信じることは別だと実以子は言う。
うまく祈ることができない彼女の光を見つけることができるのだろうか。
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おすすめポイント(受賞歴など)

第41回すばる文学賞受賞

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