竹宮ゆゆこ『砕け散るところを見せてあげる』

 

濱田清澄は、ヒーローに憧れる高校3年生。

ある日、全校集会でいじめに遭っている1年生の女子を見かけた清澄は、見逃すことが出来ず助けに入る。

ところが、助けたはずの彼女の口から発せられたのは

「あああああああああああ」

という絶叫。

ブレザーの胸下まで伸びたベタついた黒髪。

か細い背中を老人のように丸めている。

毛玉だらけの分厚いタイツ。

よく見ると、ヤバい

異様なほどにギラついた瞳で清澄を睨みつけ逃げていった彼女の名前は、倉本玻璃。

正義感の強い清澄は、玻璃のことが気になり影ながら(?)ようすをうかがうことに。人とコミュニケーションをとることができず、心を閉ざしている玻璃は、クラスのみんなから異質と見なされ、嫌われ、悪質ないじめの攻撃を受けていた。

いじめを受け入れている玻璃に疑問を抱きながらも、助けようとひとり奔走する清澄に、玻璃も頑なだった心を少しずつ溶かしてゆく。

親しくなるにつれ、玻璃のさまざまな表情に気づく清澄。やがて、抱えている問題に清澄は気づくのだが…。

「つまり、UFOが撃ち落とされたせいで死んだのは二人」

玻璃はそう言った。

玻璃が隠している真実を知った時、ヒーローになりたい少年は、彼女を本当に救うことができるのか!?

濃淡に揺れる現象は、まるで鳥や魚の群れ。あるいは大空に湧き上がる積乱雲。あるいは風に揺らめく炎。あるいはオーロラ。水底の波紋。嵐の樹林のようでもある。

膨れてはしぼむ。ぶつかっては砕ける。爆発しては燃焼し、融けて混じって変化する。自在にうねりながら形を変え、やがて運命の設計図を思い出す。点は線に。線は面に。面は立体に厚みを増して、逞しい肉体が虚空に紡がれる。新しい俺はそうして創られ、この世界に突如出現する。

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おすすめポイント

どこかサバサバとした文章で、あっさりと心に入り込み、意表をついて畳みかけ、気がつくと物語の中に引きずり込まれている。

ヒーローになりたいまっすぐな少年の心は、閉ざされた場所で助けを求めていた少女の心を開き、しかし太刀打ちできない力をもった現実がそこにあることを知る。

くりかえし読みたくなる青春ミステリー。

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