まはら三桃『三島有宇、当選確実!』~おじいちゃんは国会議員⁉

三島由宇当選確実

単行本: 274ページ
出版社: 講談社
発売日: 2016/12/1

  • おすすめ:小学校高学年から中学生向け
  • 政治や選挙の仕組みを小説で読んでみたいという人に

本の紹介(あらすじ)

由宇は小学5年生の女の子。お母さんは由宇が幼稚園のころに亡くなり、いまは「三島かばあん店」を経営するお父さんとふたりぐらし。学校では、若葉小学校児童会の副会長も務めるしっかり者。

ある日、おじいちゃんの危篤の知らせが飛び込んできた。あまり会ったことのない父方の祖父のことを由宇は知らなかったが、おじいちゃんは地元では知らない人のいない有名人だった。実は由宇のおじいちゃんはひまわり党衆議院議員であり前国土交通省副大臣の三島正政 。

慌てて病院に駆けつける由宇とお父さん。幸いおじいちゃんはただの盲腸で、命に別状はなく手術は成功。

ちょうどその折、衆議院が解散となり、総選挙が行わることになる。
由宇に会えて元気になったおじいちゃんは、さっそく選挙活動を開始するのだが。おじいちゃんの仕事に興味深々の由宇は、春休みにおじいちゃんの選挙のお手伝いをしながら、政治のことや選挙のことを身近に学んでいく。

18歳からの選挙活動

春休みを利用して、おじいちゃんの選挙のお手伝いをすることにした由宇ですが、実は小学生の由宇には制約があります。選挙についてのきまりが定められている公職選挙法という法律によって、18歳以下の選挙運動は禁じられています。2016年に公職選挙法が改正され、選挙活動に参加できる年齢が20歳から18歳まで引き下げられました)

まだ小学生の由宇は「おじいちゃんをよろしくお願いしま~す」という声をあげることも禁止。そこで選挙事務所にやってくる支援者の方にお茶を出したり、お掃除したり、雑用係をこなします。

こんな風に選挙には、細かい約束事がたくさんあります。小説の中ではこうした選挙のきまりごとや仕組み、政治の役割や三権分立についてなど国政について幅広く触れられています。

本をチェックする

巻末ふろく「18歳になったら選挙にいけます!」で、選挙の仕組みについて詳しい解説もあります。ここを読むだけでも勉強になりそう。教科書で学ぶよりも楽しいから、政治分野が苦手という中学生にもおすすめです。

著者プロフィール

まはら三桃

1966年福岡県北九州市生まれ。

2005年「オールドモーブな夜だから」で第46回講談社児童文学新人賞佳作を受賞。『カラフルな闇』とタイトルを改題しデビュー。

2011年『鉄のしぶきがはねる』で坪田譲治文学賞を受賞。中高生を主人公にした児童文学は国語入試問題にも多数出典。小学校高学年から中学生におすすめの作家。

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