天童荒太『ムーンナイト・ダイバー』~福島で生きていく

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震災から4年半。

震災から4年半。東北の復興が進む中、当時の痕跡をそのまま残している地域がある。かつて、この地に暮らしていた人たちも、そこへ入るためには制約がある。町の出入口にはバリケードが設置され、時間になると退去しなければならない。町のといっても、ほとんどのものは海に流されてしまった。大切な人を失い、その大切な人との思い出の品を探すことすらままならない。

瀬奈舟作はダイビングのインストラクターをしている。震災で父と母と兄を失った。本当ならば、あの日、命を奪われていたのは、兄ではなく自分だったのではないかといううしろめたさを抱えて生きる。


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舟作は、父親と同級生だった文平と共に、秘密の危険な仕事を請け負っていた。あの町の海の底に沈んだままの、だれかの思い出の品を拾い集める。何もかも失われた町の中で唯一光を放つ異様な建物を正面に据え、舟作は海にもぐる。見つかれば罰せられる。それだけではない、海の中も安全だとは言えない。危険を冒してまで、なぜもぐるのか。舟作は、海の中になにかの答えを探していた…。

自分が生きてしまったことに後ろめたさを抱えながら、それでも進むために向き合わなければいけないことがある。いまの暮らしを受け入れること。なにかをあきらめ、何かをつかんで進んでいく。人生とはそういうものだとわかっていても、奪われてしまった「こうではなかったはずの人生」を容易に手放すことは難しい。その思いを置いたまま、復興は進まないだろう…。復興とはなにか、もう一度考えさせられる。

いま見る海がいつか山となり、その山の近くに暮らす子どもらが遊びで土を掘り返し、人々の幸いの記憶を手にするときがあるだろうか。手にした化石に刻まれた人々笑顔と、その笑顔愛した者の涙とが、いまの彼らを存在させているということを知る日がくるだろうか。

著者・天童荒太

1960年、愛媛県松山市生まれ。家族をテーマにしたミステリ小説で映画やドラマ化作品も多い。

*おすすめ代表作*

『永遠の仔』(ドラマ化)

『家族狩り』(ドラマ化)

『包帯クラブ』(映画化)

震災をもっと知りたい人に

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