藤原てい『流れる星は生きている』~満州引揚げをつづったベストセラー

ノンフィクション
【BOOKS雨だれ】高校生におすすめ50冊!
戦争と平和について考えるノンフィクション
ドラマ化原作
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満州引揚げの壮絶な記録

引き揚げ者のお話には、肌がピリピリするような痛みがある。読んでいるだけで息苦しくなり、緊張の連続で肩が凝る。

昭和二十年八月九日、ソ連参戦の夜、世界が変わった。

満州・新京の観象台官舎から突然に退去を迫られた家族。妻は夫と別れ、ひとりで3人の子どもを抱えて出発することになる。選択の余地はない。
考える時間も息をつく間もなく、命を追われながら列車に乗り逃げる第1章。

宣川での共同生活のようすを記した第2章。
夫の不在や子どもの病気、いつになったら日本へ戻れるのかという不安。

そして、38度線を越え、日本に帰国するまでを鮮明に記した第3章。

1歳に満たない赤ん坊を背負い、3歳と6歳の幼い子どもを連れた4人での引き揚げは、自分のこれまでのどの経験にも置きかえて想像することのできない「過酷」な旅であった。よくまぁ無事に日本までたどり着けたものだと涙がこぼれる。

読み終えて、ただただ、すごいと思う。

藤原ていの、絶対に生きて帰るのだという強い意志がうかがえる。ほんの少しでも「もういい」という諦めがあったならば、作家・藤原ていも正彦も存在しなかったのである。

いまの私に、これほどまでに生きることへの執着があるだろうか。「生きる意味がみつけられない」などとつぶやいていた、いつだったかの私を、この本で横からなぐってやったらいいかもしれない、などと本気で思う。どんなにしたって、「生きる」ことには間違いなく大きな価値があるのだと、この本は伝えてくれる。

帰国後、遺書として書かれた作品

1918年11月6日生まれ、長野県芦野市出身。

ベストセラー『国家の品格』の著者・藤原正彦氏の母である。と言ったほうがわかりやすいかもしれません。

旦那様は作家の新田次郎さん。『孤高の人』や『劔岳』の著者です。

命の危険を感じる場面にさしかかるごとに、不安になる。彼らは、この過酷な状況から本当に日本に戻ってくることができたのだろうかと。家族がみんな(現地で別れたままの夫も含め)最後には無事に日本に戻ってこれたことを知った上で読み始めているにも関わらず、心はざわざわする。よく考えると、この本だって無事に帰国したから存在しているのに。

これほどの過酷な脱出の旅をなんとか乗り越えた一家ですが、帰国後藤原ていは体調を崩します。その折に、遺書のつもりで書き上げたのがこの本です。子どもたちへの愛情から生まれた作品と言えます。その後『流れる星は生きている』は、ベストセラーとなり、1982年にはTBS『愛の劇場』でドラマ化されました。

YouTubeで大映映画「流れる星は生きている」の主題歌をアップロードしてくださっている方がいました。

藤原ていさんによる作詞です。

『流れる星は生きている』は、国語の教科書でも紹介されています。

BOOKS雨だれ東京書籍中学1年生国語教科書

 

おすすめの本あります

同じように引揚げ体験をつづった『竹林はるか遠く』は、当時11歳だったヨーコが母と姉・コウが満州で終戦を迎えたところからはじまる。幼い少女の目線から見た終戦と引揚げ、そして日本に戻ってから姉妹に訪れる悲しい現実。終戦は決して戦争の終わりではないことを伝えます。こちらも合わせて読んで欲しい1冊。

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