今村夏子『星の子』

今村夏子『星の子』
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2018年本屋大賞ノミネート

生まれつき体が弱かったわたし。両親はいろいろと試したがあまり良くならない。会社の同僚が「それは水が悪い」と言う。その同僚・落合さんがくれた水を使ってみると、たちまち私の湿疹はよくなった。風邪にもとにかく何にでも効く万能の水は「金星のめぐみ」といい、以来、両親はこの水を購入し続けることになり、水を販売している「あやしい宗教」にはまり込んでいく。

家族の中でわたしの姉である「まーちゃん」以外に、新興宗教に降り回される家族を「おかしい」と感じている者はなく、一家は至っておだやかに楽しく暮らしている。

今村夏子初の長編小説

『こちらあみ子』『あひる』そして『星の子』、今村夏子の小説に共通しているのは「ふつう」からはみ出した人々の、そのおかしさに気づかずにズレたまま暮らす哀れなユニークさ。「ふつうの人」にとって、ズレたまま生きていくことは困難だ。「おかしい」と感じてしまったら、もうそこでは生きていけない。まーちゃんのように飛び出してしまうか、春ちゃんのように順応するしかない。

 

この家族を「どこかおかしい」と感じる読者は多い。しかし、あなたの考える「おかしい」や「ふつう」は、他者から見ても同じだろうか。その「ふつう」というボーダーはあなたが勝手に引いたものである。その価値観を誰かに(物語の中にすら)押し付けることはできない。事実、小説の中の家族は「しあわせ」に暮らしているのだから。それではこの消えない違和感や肌寒さは何だろう。

あなたは、この小説を読んでどう感じるだろうか。

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