森浩美『夏を拾いに』

森浩美『夏を拾いに』
  • 小学校高学年から大人にも親子で読んで欲しい
  • 昭和の少年物語
  • 夏の読書に・読書感想文にもおすすめ

とにかく元気な少年たちが、夏を走り抜ける物語。ギンギンに照りつける太陽、背丈ほども伸びた夏草のむんとする匂い、蝉の大合唱が聞こえてくる、「夏」な一冊。読み終えた後、きっと自分の「夏」を探しに外に飛び出したくなるはず。

少年たちは不発弾を探しに冒険に出た

転勤を言い渡された夜、小学五年生の息子に語りだしたのは、『お父さんがちょうどお前と同い年のときの』夏の日々。

昭和46年の夏、ブンちゃん、雄ちゃん、つーやんの3人は、いつかじいちゃんから聞いた話を頼りに、どこかにまだ埋まっているかもしれない不発弾探しを始めた。

第二次世界大戦中に投下された無数の爆弾のうち、爆発しないまま、誰にも気づかれずに放置されている不発弾が、今年になっても発見されたりして、驚く。戦後70年もたつというのに、まだあるんですね。不発弾は眠っているだけで、爆発する危険もあるのだから、無闇に見つけようとしたり、近づいたりしてはいけない。のだが、少年たちにとっては宝さがしの冒険。

著者があとがきで「いつか僕なりのスタンド・バイ・ミーを書きたかった」というように、ノスタルジックな作品。昭和の少年だったおじさんたちには、「そうそう」とうなづいてしまう懐かしいフレーズもたくさん飛び出すのも楽しいかも。本の中で父親が息子にあの夏を語るように、親子で読んでみるのもおすすめです。

また、「文章が日本語として正しく、なおかつ読みやすい(あとがきより)」森さんの小説は、中学・高校の入試問題にも何度も採用されています。小学校高学年から共感でて楽しめる小説なのですが、少し長いので、夏休みにじっくりと読んでみてはいかがでしょうか。読書感想文にもおすすめです。

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