林木林『二番目の悪者』

二番目の悪者
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BOOKS雨だれが選ぶ10代におすすめの絵本!社会風刺を描く
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あらすじ

よく手入れの行き届いたみごとな金色のたてがみと同じ金色の衣装をみにまとい、

大きな宝石のついたリングをはめこんだその指で、赤ワインの入ったグラスを持つ。

含みをもつ笑みに、どこか嫌な気持ちにさせられる。

赤い表紙に記されたタイトルは『二番目の悪者』。

ひと目見て、一番の悪者はこの金色のライオンだろうと想像がつく。早とちりだったらごめんなさい。でも、この表情、悪者以外の何者でもない。

 

みごとな金色のたてがみをもつライオンはこう思っていた。

他の動物はみな茶色や灰色ばかり。

金のたてがみで生まれた自分こそ、天に選ばれし者なのだ。

だから、年老いた王が「次の王様を国民で決めるように」とおふれを出した時、自分こそが王にふさわしいとすぐに思った。

 

一方、街では別のライオンの名前が候補にあがっていた。

それは街はずれに住む銀のたてがみをもったライオン。

フクロウおばさんの家を直してやったり、

病気がちな仲間に食べ物を分けてやったり、

木の下に落ちた小鳥のヒナを巣に戻してやったり。

その様子を見た金のライオンは悔しがった。

このままでは銀のライオンに次の王の座を奪われてしまう。

「王にふさわしいのは、この私だというのに」

そこで金のライオンは考えた。

そしてすぐさま行動を起こした。

 

ないことをでっちあげ、白を黒に変えることなどたやすい。

とはいえ、そう簡単に人々だってだまされるわけがない。

・・・はずなのに。

どうしたことか、

根拠のない悪意はじわじわと広がって・・・。

 

これは、ずっと昔のいまはもうない国の物語。

でも、ちょっとまって。

あなたも経験がないだろうか。

友だちが友だちから聞いたという噂話を、つい友だちに話してしまうようなこと。

「ちょっと聞いたんだけどさ」

「ただの噂かもしれないけれど」

根も葉もないただの噂ばなしが、

だれかの口から誰かの耳へ、

また誰かの口からだれかの耳へ、

まるで転がる雪玉のような勢いで膨れ上がっていく。

そんな事実はない。

それなのに、まるで本当のことのように偽りが真実に変貌していく。

止まらない好奇心と悪意がそのスピードを加速させる。

「本当のこと」を伝える声は、激しい暴風にかき消される。

正しさの基準を失った偽物の真実は、やがてすべてを破滅に追い込み、この物語は幕を閉じる。

 

金のライオンは、悪事を働いた。

彼が悪者であることは間違いない。

しかし、金のライオンのでっちあげた嘘だけでは、このシナリオは完成しない。

金のライオンの嘘に力をあたえたものはなにか。

わたしたちは、傍観しているだけではいられないはずだ。

「嘘は、向こうから巧妙にやってくるが、

真実は、自らさがし求めなければ見つけられない」

おすすめポイント

『二番目の悪者』

SNSの発達により、噂の広まるスピードが加速している。

どれが真実でどれがそうでないのか、私たちは見極める目を持たなければならない。

直接的な悪意を持たなくとも、無責任な好奇心や無関心が悪意に力を与えることもあるということを知っておきたい。

全国学校図書館協議会選定図書(小学校高学年・中学生向け)

小学校高学年・中学生だけでなく10代のみなさん、大人にもおすすめの絵本です。

読み聞かせにも。

この絵本を発行している「小さい書房」さんは、代表の安永則子さんがひとりで運営しているひとり出版社です。ほかにも10代の心をぎゅっととらえる絵本を出版されていますよ。チェックしてみてくださいね。

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内容(「BOOK」データベースより)

考えない、行動しない、という罪。

  

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