恩田陸『蛇行する川のほとり』

  • 『蜜蜂と遠雷』で第156回直木賞受賞の恩田陸さんの描く少女ミステリー
  • 単行本の酒井駒子さんの表紙がすてきです

少女たちのミステリー

少女をモチーフにしたミステリーがどこか特別に見えるのは、少女そのものがどこかつかみどころのない不思議な部分を持っているからだと思うの。あの夏の日、少女たちは川のほとりにある「船着場のある家」で合宿を始めた。夏の終わりの演劇祭に向けて、舞台背景の絵を仕上げるために。

それは、楽しく充実した高校生活の最高の思い出になるはずだった。ひとりの美しい少年の言葉が、この世界のすべてを灰色に変えるまでは…。

そして、運命の歯車は回り始めた。あの遠い夏の日と同じように―。

運命の岸辺に佇む少女たちの物語。

香澄さん、芳野さん、真魚子ちゃん、登場する少女たちがみんな、透明感のある美しさを持ちながら、重大な秘密を抱えているかのような謎めいた部分を持っている。

そのアンバランスさが、少女の魅力なのだと思うが、この小説では、その少女としての魅力がよく描かれていると思う。

いつだって、そんなつもりじゃなかったのは少女たちの特権だし。

全編通して、ミステリアスな雰囲気が流れています。

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文庫本もありますが、単行本のこちらの表紙が好みです。

タイトル:蛇行する川のほとり
著者:恩田陸
出版社 : 中央公論新社
発売日 : 2004/11/1
単行本 : 316ページ

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