少年少女のためのブックリスト:ホラーミステリー小説を読む

中学生・高校生におすすめホラーミステリー小説

怖い話は好きですか?
ハラハラ謎めいていて、心臓がバクバクする、読み終わっても怖い。そんな本を読みたい!という中学生・高校生におすすめのホラー・ミステリー小説を紹介します。
ホラーなのか、ミステリーなのか。
そこは敢えて線引きしないほうが楽しめるというもの。
怖い本が苦手な人にはおすすめしません(>_<)

恐怖によって意識する「生」

小学校のころ「怪談レストラン」シリーズが好きでいつも読んでいた、という人は多いのではないだろうか。「学校の怪談」シリーズや「怖い本」シリーズなど、怖い話は小学校中学年から人気のジャンル。10代は「怖い話」が好きなのだろうか?
ベネッセがオンラインで中学生の保護者を対象に行ったこんなアンケートがある。
「お子さまは怖い話はお好きですか?」
アンケートの結果は以下のようになった。

「好き」14.1%、「まあ好き」23.4%
「嫌い」28.4%、「あまり好きではない」28.2%

怖い話が好きな人は約4割。「怖がりなくせに、見たがる、聞きたがる、読みたがる! 怖さを楽しんでいる」という反応が大半で、「小学生のときは嫌いだったが、中学生になってから好きに」「中学生になってからは多少大丈夫になった様子」といった声も。

人間にとって「恐怖」を感じることは自分の「生存」を確認する行為でもある。「死」を恐れる感情が人を「生」へと向かわせる。死を感じるほどの瞬間に私たちが感じる恐怖は、「死にたくない」という感情(あるいは本能)から呼び起こされるものではないだろうか。また。極端に恐怖を感じないとしたら、死への感覚が鈍いとも言える。日々の生活の中でわたしたちは違和感や恐怖の感覚によって「危険」から身を守ることができる。「恐怖」は「生存」のために不可欠な要素でもある。

10代が「怖さ」に惹かれる背景には、「生」や「死」を意識し揺れ動いているからだとも言える。「怖いけれども、怖い話が聞きたい!読みたい!」というのは、自然な成長過程である。

なんていう難しいことは置いておいて、「怖い本」の快感をぜひ味わってみて。

中学生・高校生におすすめホラーミステリー

背筋がぞっとするようなホラー要素のあるミステリー小説です。

貴志祐介『十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLA』

賀茂由香里は、人の強い感情を読みとることができるエンパスだった。その能力を活かして阪神大震災後、ボランティアで被災者の心のケアをしていた彼女は、森谷千尋という少女に会う。千尋は自分の中にいくつもの人格を存在させている多重人格者だった。千尋の助けになりたいと考えた由香里。やがて、千尋の人格の中に、極めて凶悪な性質を持つ十三番目の人格・ISOLAが出現して…。第三回日本ホラー小説大賞長編賞佳作。

二重人格という言葉を耳にしたことはあるけれど、いくつもの人格に操られて次々とキャラクターが変わっていく千尋の姿と最後の人格ISOLAの悪意に背中が寒くなります。貴志祐介さんの作品は、『悪の教典』『天使の囀り』など怖い本たくさんあります。

ラストが気になって一気に読んだ。ISOLAの意外な正体に騙された

乙一『暗黒童話』

突然の事故で記憶と左眼を失ってしまった女子高生の「私」。臓器移植手術で死者の眼球の提供を受けたのだが、やがてその左眼は様々な映像を脳裏に再生し始める。それは、眼が見てきた風景の「記憶」だった…。私は、その眼球の記憶に導かれて、提供者が生前に住んでいた町をめざして旅に出る。悪夢のような事件が待ちかまえていることも知らずに…。

物語がすすむにつれて事件の核心に近づいていく緊迫感と、残忍な犯人がすぐ近くに迫る恐怖。ホラー要素だけでなく、記憶をなくした少女の孤独と心の葛藤など切ないシーンもあり印象深い作品です。残忍な描写もあり苦手な方にはおすすめしません(>_<)

【みんなの感想より】

乙一さんが好きなので読んでみました。犯人を想像しながら読んでいたらみんなが犯人に見えてきた(@_@。

長谷川夕『おにんぎょうさまがた』

それは、私が小学校二年生のある日のこと。同じ学童に通う香奈枝ちゃんが、お姫さまみたいな人形を持ってきた。金色の巻き毛に、青いガラス目。丸みを帯びた桜色の頬に、控えめな微笑み―えもいわれぬ美しさを持つ彼女の名前は『ミーナ』。そんな彼女との出会いが、すべての不幸の始まりだった…。五体の人形にまつわる、美しくも哀しいノスタルジック・ホラー。

人形をテーマにしたホラー短編集。美しい人形たちが引き寄せる事件が、ただ怖いというだけではなく、どこか切なく、読み終えたあとじんわりと余韻が残るノスタルジックホラー。いま注目しているお気に入りの作家・長谷川夕さんの2作目です。

【みんなの感想より】

読み終わっていちばんぞっとしたのは「あくじき少女」です。こんな人形が手元にきたらどうしよう。

乙一『夏と花火と私の死体』

九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく―。こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄妹の悪夢のような四日間の冒険が始まった。次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか?死体をどこへ隠せばいいのか?恐るべき子供たちを描き、斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、早熟な才能・乙一のデビュー作、文庫化なる。第六回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞受賞作。

この物語の主人公は「9歳の少女の死体」、犯人は「同級生の女の子」。ふたりの小学生が、死体を隠す場所を探すという衝撃的なストーリーを、シンプルで軽やかな文体で描き読ませます。乙一17歳デビュー作。あちこち衝撃的です。怖いのは苦手という人も読みやすいはず。たくさんの10代に読んでほしい。

【みんなの感想より】

友だちにすすめられて読んだが、ラストにやられた!「優子」の方が好きかも。

伊島りすと『飛行少女』

パラコートを大量に飲み自殺を図った少女は、自分がかつて治療をした少女に瓜二つだった。そしてアメリカ留学から帰国した姪の顔も…。彼女たちの共通項は16歳という年齢。女医・立花麗火はこの謎を調べ始める…。未だかつてない新たなる物語の誕生。注目の新鋭が放つ、新感覚のファンタジック・ホラー。

不慮の事故で運び込まれてくる少女たち。その遺体を診た女医は彼女たちにある共通点があることに気が付きます。恐怖の連鎖を止める手立てはあるのか。上下巻でページ数多めながら、一気読みしてしまうホラー小説。

【みんなの感想より】

医療用語が難しいところもあったけど、そこにつながるの!?という意外な展開で一気に読んだ。

道尾秀介『向日葵の咲かない夏』

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。

主人公の「ぼく」は小学生ですが、小学生になった気分で犯人探しにドキドキしながら読んでいると、落とし穴に落とされる(>_<) そんな小説です。小学生にはおすすめしません。

【みんなの感想より】

犯人はだれだろうとドキドキしながら読んだけど、ラストのオチは正直言って、なんだかすっきりしなかった。

鈴木広司『リング』

同日の同時刻に苦悶と驚愕の表情を残して死亡した四人の少年少女。雑誌記者の浅川は姪の死に不審を抱き調査を始めた。―そしていま、浅川は一本のビデオテープを手にしている。少年たちは、これを見た一週間後に死亡している。浅川は、震える手でビデオをデッキに送り込む。期待と恐怖に顔を歪めながら。画面に光が入る。静かにビデオが始まった…。恐怖とともに、未知なる世界へと導くホラー小説の金字塔。

元祖・人気ホラー小説と言えばコレ!映画の貞子が怖すぎて、数日明かりを消して眠れなくなったほど。原作も怖くてまだ読めない(>_<)著者は、子煩悩なすてきなお父さん。主夫としておうちで小さなお子さんたちの子育てをしながら、背筋も凍るようなホラー小説を書き上げたというギャップがいいですよね。

【みんなの感想より】

映画を見てから読んだ。映画もよかったけど、じっくり読めておもしろかった。ホラー好きなら原作も楽しめると思う。

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