R・J・パラシオ『ワンダー』~特別な顔をもつ男の子

YA文学
  • 小学生から大人まで読んで欲しい
  • 全世界で300万部売れたベストセラー
  • 勇気をくれる本
  • 読書感想文にもおすすめの1冊
  • 2018年6月映画公開
スポンサーリンク

オーガストは10歳の男の子。顔以外は

オーガストは10歳の男の子。もしも魔法のランプがひとつだけ願いを叶えてくれるとしたら、彼の願いは「目立たないありきたりの顔になりたい」ということ。
オーガストは生まれつきの病気のせいで外見がみんなとは違う。簡単に言うと、顔に障がいがある。オーガストは自分が「ふつう」ではないことを知っている。ふつうの子なら、ほかの子にじろじろ見られたり、悲鳴をあげられることはないものね。

オーガストは自分の外見について「どんなに説明しても想像するよりずっとひどい」と言うが、少しだけ想像してみて欲しい。

オーガストの目は、ふつう目がある位置より三センチも下についている。ほおのまんなか近くだ。極端な角度のたれ目は、縦にまっすぐナイフで切られた切り傷のように見える。眼球が入りきるだけの穴がなく、目玉が大きく外に飛びだしている。鼻は、顔と不釣り合いに大きく、ぽってり肉がついている。耳のあるべきところはへこんでいて、顔のまんなかあたりを両側から巨大なペンチでつぶされたみたいに見える。ほお骨はない。鼻の両側から口まで続く深いしわのせいで、とろけた蝋のように見える。口蓋を直す手術を何度か受けたせいで、口のまわりにいくつも傷がある…。

医者が告げた病名はこうだ。「未知のタイプの下顎顔面遺骨症で、原因は第五染色体のTCOF1遺伝子の常染色体劣性の変異、OVAスペクトラムに特徴的な変則顔面小人症との合併があるようだ」なんだかものすごく厄介そうな響きだが、その未知なる病気のために、オーガストは生まれてから27回も手術をくりかえしていて、おかげでこれまで学校に行くチャンスがなかった。
そう、これまでは。

ある日突然、オーガストは両親から学校に行くことをすすめらる。
ママは「もっといろんなことを勉強したほうがいい」という。学校では「ママから教えられないことが学べる」のだそうだ。
みんなが自分の顔をみたら、どんな反応をするのかオーガストはよく知っている。オーガストのパパが言う通り「まるで屠殺場に引かれていく子羊」状態かもしれない。でも、オーガストは、学校に行くことを選ぶ。

想像してみる。
自分がオーガストのような外見で、知らない人ばかりがいる場所にひとりで乗り込んでいく。ものすごい勇気が必要だ。

想像してみる。
自分の学校に、一度見たら忘れられないようなドキッとする外見の子がやってくる。先生から「親切にしてあげて」と頼まれる。自分はどんな反応をするだろうか。新しい友だちとして受け入れられるだろうか。

「理想」はわかる。親切にして、友だちになってやるべき。しかし、果たして自分にそんなことができるだろうか。

スポンサーリンク

現実や自分と向き合うこと

勇気を出して学校に通うことに決めたオーガストだが、簡単には受け入れてもらえない現実にも直面する。好奇心の目にさらされたり意地悪な奴もいるが、サマーやジャックのような親切で楽しい友だちもできた。しかし、あるきっかけでオーガストは、信じていた友だちの本音を聞いてしまった。それはオーガストにこれまでに味わったことのない深い悲しみと絶望を与えた。

「いちばん大切なことは、目に映らない」とは、サン=テグジュペリの『星の王子さま』の一節だが、人間の心と外見がリンクしていればいいのに、と思う。親切な人は優しい顔に、心がきれいな人は美しい顔に、意地悪な人は醜い顔になればいいのに。そうしたら、もっとわかりやすいのに。

オーガストは「なぜ自分ばかり…」なんて嘆かない。それは彼がありのままの「自分」を受け入れているから。その支えとなっているのは間違いなく家族の存在だろう。
オーガストを守りたい、だからこそ外の世界へと背中を押して送り出す両親の勇気と思いは深い。

友だちのサマー、ジャック、姉のヴィア、彼氏のジャスティン、ヴィアの友だちミランダ、この物語はオーガストと彼を支える彼らの語りで紡がれている。オーガストに初めて対面した時の反応はそれぞれだ。揺れたり迷ったりしながら、彼らも自分の心と向き合いオーガストを受け入れていく。だれかの小さな思いやりは、オーガストにとって大きな安心となり、恐れずに現実に立ち向かう勇気になった。思い切って「現実」に飛び出したオーガストは、守られた家の中にいては絶対に見つけることのできなかった「心から信頼できる大切な友だち」を見つけることができた。

「いちばん大切なことは、目に映らない」

見えないものを見ようとする心が必要だ。

ブックデータ

第62回読書感想文コンクール課題図書・小学校高学年の部

映画「ワンダー 君は太陽』原作


『Wonder』を原作とした映画「Wonder 君は太陽」が2018年6月日本でも劇場公開されます。この夏、ぜひ観たい映画のひとつ。

監督:スティーブン・チョボスキー

【キャスト】

オーガスト:ジェイコブ・トレンブレイ

オーガストのママ:ジュリア・ロバーツ

オーガストのパパ:オーウェン・ウィルソン

本をチェックする

全米で「NYタイムズベストセラー第1位」を獲得

2016年青少年全国読書感想文課題図書(高学年の部)

 

【中学生以上にはペーパーバック版も】

【続編『もうひとつのワンダー』も】

読書感想文の本選びなら、これまでの課題図書をチェックしてみる?▶課題図書をチェック

コメント