井上ひさし『少年口伝隊一九四五』

井上ひさし『少年口伝隊一九四五』
高学年から中学生に読んで欲しい戦争と平和について考える本
広島の原爆投下を描いたごくごく短い物語
東京書籍中学1年国語教科書
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原爆投下のあとで・・・

戦争の本は怖いから苦手、という人にもこの本ならおすすめできるのではないかしら。

焼け野原となった大地にきれいなほどの青い空を見上げる3人の少年。悲惨な状況があったのはタイトルから想像がつく。それでも、どこか希望を感じるような青さに、心が惹きつけられた。

1945年8月6日、広島の町に原爆が投下された。あまりに突然のできごとで、何が起こったのか、これからどうしたらいいのか、人々は苦しさの中で戸惑いの中にいた。

今こそ、みんなが必要としている情報を提供しなければならない!新聞社は情報をかき集めたが、原爆ですべて失った広島の町では、新聞を印刷することは不可能だった。

新聞を印刷するかわりに、口伝隊として各地へと情報を伝えた3人の少年がいた。

英彦、正夫、勝利の3人は、それぞれこの原爆で、親をなくし、おばあさんをなくし、妹をなくした。それは一瞬の出来事だった。

少年たちの目にうつったヒロシマ、そして終戦とはどんなものだったのか。原爆投下から終戦直後までを、少年たちとともに描きます。

井上ひさしさんが舞台のために書き下ろされた短編に、ヒラノトシユキさんの絵を添えた、80ページの小さな本。ルビ付きでわかりやすい言葉で書かれた物語を、短くも的確な描写でつづる。原爆を語る辛いシーンもある。広島のみんなのためにと駆け回った3人の少年たち、その後を語るラストの1ページが原爆の怖さを伝え、心にずしりと響く。

それと同時に、生き残った子どもたちのたくましさにエールを送りたくなるような前向きさもしっかりとある。

「広島の子どものなりたかったものになりんさいや。・・・・・・おまいにゃーやあらにゃいけんこつがげえに山ほどあるよってな」

と、語るじいたんの言葉が、失った命からの大きなメッセージとなる。

すべての人へ忘れるなと、そして、子どもたちへ強く生きろと語りかける1冊。

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