ピート・ジョンソン『両親をしつけよう!』~困った親をなんとかしたい

『両親をしつけよう』
  • 高学年から中学生におすすめ
  • 日記みたいなおもしろい物語
  • あまり本が好きではない男の子にも
  • 読書感想文にもおすすめ

本の紹介

「しつけは大人が子供にするもの」とは限らない!?この本のタイトルは『両親をしつけよう!』
困った親はどこにでもいるもの。そのままにしていたら大変なことになってしまうかもしれませんよ( ゚Д゚) 気になるあなたは、ぜひこの本を読んでみて。

両親の仕事の都合で新しい学校に転校したピート。どうやら、へんてこなところに引っ越してきたらしい。
近所の人たちは、どんなに自分の子供が優秀かっておしゃべりばかり。放課後になると、クラスのほとんど全員がホルンだとかおかしなものを習いに、せかせか帰っていく。

ピートの夢はお笑いタレントになること。どうにもピートにはここは合わない様子。

ぼくはこの〈ガリ勉村〉に住みつけるだろうか?

それどころかピートの両親までおかしくなりはじめたから、さあ大変。学校や近所の悪影響を受けて(!?)、ピートの両親は、弟のエリオットをフレンチクラブに通わせたり、ピートのテストの点数を気にしたり、さらに熱心に勉強させようとしたりと、だんだんおかしく(!?)なっていく。

ぼくが今なにになやんでいるかわかる?両親疲労症。今の状況さえのりきれば、とぼくはいつも自分に言い聞かせている。両親は近所の人たちのせいでとまどって悪い状況になってしまった。だからぼくがしんぼう強く見守っていれば、そのうちなおるだろうと思うのさ。そしていつかは母さんや父さんといっしょに、今のことを笑いとばせるだろうと。

パパやママにしてみたら、子どもの成績を心配したり可能性を伸ばしてあげなくちゃと一生懸命になったりするのは「親として当然の行為」なのだろうけど、子どもからみたら「大人がおかしくなってる」ってわけ。

ピートはこのおかしくなった両親をなおしてあげたくて、マディのアドバイスを受けて両親へ「しつけ」をすることを決意する。さてさどうなることやら…。

1冊丸ごと、ピートが綴る日記形式で物語が進んでいく。主人公のピートはお笑いタレントを目指しているだけあって、文章も面白い。グレッグのダメ日記が好きな人は、楽しめると思う。

親は子供をなんとかしたくて必死になるけど、子どもにとってはおかしいのは親の方。ピートは、変わってしまった両親に対して「大きなお世話」なんて言わない。家でする時にも、「これまでの食事と世話をありがとう」なんて感謝の気持ちをちゃんと書き添えて、あとで「あの時は悪かった」と言ってきたら1時間もしないで許してやろうとも思っている。親をなんとかしてあげたいと思うピートは、両親思いの優しい子だって思う。

この本は小学校高学年の読書感想文の課題図書だが、主人公のピートは中学生。もちろん中学生にもおすすめ。そしてぜひ大人のみなさんにも読んでほしい。ギャグセンスのある両親にぜひ、原稿用紙と一緒に夏休みにでもプレゼントしてみるのもいいかもね。

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両親をしつけよう! (文研じゅべにーる)
文研出版
ピート ジョンソン (著), ささめや ゆき (イラスト)

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