さだまさし『風に立つライオン』

『風に立つライオン』
  • 医療をテーマにしたぐっとくる小説
  • 映画化の話題作

あらすじ

アフリカでの僻地医療、巡回医療に青春を懸ける青年医師が、日本に残してきたかつての恋人に宛てた手紙をテーマにした、さださんの名曲「風に立つライオン」。実在のモデルをもとにしたこの曲をモチーフにしたのが、小説『風に立つライオン』です。

ケニアにある長崎大学熱帯医学研究所から出向し、戦勝病院で働く日本人医師・航一郎。ある日、病院に銃弾に撃たれた少年兵・ンドゥングが担ぎ込まれた。警戒心でかたく心を閉ざすンドゥングに、鉱一郎はいつも語りかけ、やがて、二人の間に強い絆が生まれる。

1980年代の内戦が激化するアフリカ・ケニアから、2011年に震災で大きな被害を受けた石巻へと、航一郎が手渡した心のバトンがつながる…。

アフリカで医療に尽力した実在の人物をモデルに、歩き始めたばかりの被災地を舞台にした小説に心が揺れないわけがない。立ち止まったり、落ち込んだりを繰り返す日々に、自分にエールを送らなきゃ前に進めない時もある。泣けるだけじゃなくて、とても強い物語だった。

これは、本屋大賞ものだな。えっ?ノミネートされてないの?
そのくらいよかったです。

映画「風に立つライオン」

2015年3月劇場公開
【監督】三池崇史
【キャスト】
航一郎:大沢たかお
草野和歌子:石原さとみ
秋島貴子:真木よう子

ブックデータ

文庫: 380ページ
出版社: 幻冬舎
発売日: 2014/12/25

著者・さだまさし

1952年、長崎県長崎市生まれ。10代には作家さんのイメージの方が強いかもしれませんが、作家さんである前にシンガーソングライターであるさださん。山口百恵さんが歌う「秋桜」やドラマ「北の国から」のテーマソングを作った方です。

1973年、フォークソング「グレープ」でデビュー。1976年グループ解散後、ソロ歌手として活動を続けています。両親がさだまさしさんのファンで「おもしろいおじさんミュージシャン」というイメージがあります。さださんの作るしっとりした曲とさらりとおもしろいことを言うギャップが魅力的なのですが、小説を読むときにはおもしろいミュージシャン・さだまさしの作品であるということを忘れて、物語の世界に引きずり込まれます。小説の繊細さとまっすぐさに心を打たれます。

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