サキ 『サキ短編集』又吉直樹もおすすめのブラックミステリー短編集

  • 中学生からおすすめ名作ミステリー短編集
  • 又吉直樹さんもおすすめの作家
  • 謎めいていてブラックな「奇妙な味」のひとり

ちょっとブラックなシュールさ

不気味な後味を残すミステリーのような作品を江戸川乱歩は「奇妙な味」と名付けました。サキもこの「奇妙な味」のメンバーのひとりです。

くせのある登場人物たちのかけあいでストーリーが進むリズミカルさはオー・ヘンリーの短編のようでいて、ラストで落とされるブラックさは見事。その場に居合わせたら苦笑いしたくなるようなものが多いですね。

近所のおばさんたちが井戸端会議で「こないだこんなことがあったのよ~」なんておしゃべりのネタにされそうなものも多く、人間くささが味わえる小ネタが多いです。

サキは、ビルマで生まれ。幼ない時に母と死別し故国であるイギリスの厳格な伯母のもとで育てられます。江戸川乱歩をはじめ、サキの影響を受けた作家あたえた日本の作家も少なくないはず。そんなサキの代表的な21編を集めた短編集です。

1作目の「二十日鼠」は、サキをつかみやすい作品ではないかと思うので、これがおもしろかった人には1冊楽しめると思います。続けていくつか読みたくなるような短さも、ちょっとした時間つぶしにいい長さ。「二十日鼠」、「おせっかい」、「七つのクリーム壷」がおもしろく残ったかな。

もくじ

二十日鼠(The Mouse)
平和的玩具(The Toys of peace)
肥った牡牛(The Stalled Ox)
狼少年(Gabriel-Ernest)
話上手(The Story-Teller)
七番目の若鶏(The Seventh Pullet)
運命(The Hounds of Fate)
開いた窓(The Open Window)
宵闇(Dusk)
ビザンチン風オムレツ(The Byzantine Omelette)
休養(The Lull)
マルメロの木(The Quince Tree)
親米家(On Approval)
十三人目(The Baker’s Dozen)
家庭(Tea)
セルノグラツの狼(The Wolves of Cernogratz)
おせっかい(The Interlopers)
ある殺人犯の告白(The Lost Sanjak)
ラプロシュカの霊魂(The Soul of Laploshka)
七つのクリーム壺(The Seven Cream Jugs)
盲点(The Blind Spot)

ブックデータ

文庫: 225ページ
出版社: 新潮社
ISBN-13: 978-4102026014
発売日: 1958/3/18

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