桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』

【BOOKS雨だれ】中学生におすすめ50冊
桜庭一樹の初期傑作青春ミステリー

 

十月四日の早朝、鳥取県境港市蜷山の山腹で、少女のバラバラ遺体が発見された。身元は市内に住む中学二年生、海野藻屑さん・・・。その遺体を最初に見つけたのは、なぎさだった。

山田なぎさ(十三歳・中二)のクラスにやってきた転校生はちょっと変わっている。名前は海野藻屑だし、父親は地元出身のかつての有名人・海野雅愛。そして海野藻屑は自分のことを「人魚」だという。

「ほんとはね、ほんとの友達を探しにきたの。大事な友達。ぼくのためにすげーがんばってくれるいい感じの友達。そいつが見つからないと、海の藻屑になっちゃうの」

「ふーん……。へー……。みつかるといいね」

「山田なぎさ。あんただといいな」

一方、なぎさはこの錆びれた港町を出ていくために社会で戦うための実弾を必要としていた。早く大人になるために必要な、生活に打ち込む、本物の力。

これは、まだ実弾を持たない少女たちの戦いの物語。

子どもにとって、今の社会は生存競争のような場所でしかないのだろうか。

「生き残った子だけが大人になる」

小説の中で語られるそんな当たり前のセリフが奇跡に思える。

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おすすめポイント

2004年富士見ミステリ文庫より文庫本が刊行

2007年富士見書房より単行本が刊行

2009年角川文庫より文庫本が刊行

ライトノベルの先駆け的小説。文庫本で刊行されたライトノベルがその後単行本で発売され、さらに文庫化されるのは、当時としては異例でした。

富士見ミステリー文庫より最初に刊行された文庫本は、ロリータ風のあどけない少女が描かれた萌え系の表紙で

2006年「このライトノベルがすごい!」第3位

2008年、杉基イクラにより漫画コミック化(富士見書房)

私はもう大人としてしかこの本を読めないけれど、10代でこの本に出会っていたら、もっと心に痛く響き、強く揺さぶられただろうと思う。少女たちは純粋で美しく、無力で悲しい。

こういう本、中学生の時に読みたかったなぁと思う。

この本が好きな人には岡崎京子もおすすめしたい。

キーワード

中学生/富士見ミステリ―文庫/ライトノベル/少女/友情/ストックホルム症候群/猟奇的

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