桜庭 一樹『青年のための読書クラブ』

YA文学

  • 本が好きな人におすすめ
  • 名門女子高に伝わる伝説の倶楽部
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異端者たちの読書クラブ

東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。校内の異端者(アウトロー)だけが集う「読書クラブ」には、長きにわたって語り継がれる秘密の“クラブ誌”があった。

そこには学園史上抹消された数々の珍事件が、名もない女生徒たちによって脈々と記録され続けていた―。

↑という前情報なしで読み始めたので、どんな展開になっていくのか全く知らず、第1章の終わりでは一瞬「???」となりましたが、なるほどそういう構成なのねと掴んでからは、ビビることなくさくさくと読めました。(桜庭さんのはじめましてが「私の男」だったので、何か出てくるんじゃないかとつい身構えてしまう)

読み始めはライトノベル風かと思ったのですが、そうでもなく、さくさくと読める割には、なかなか読みごたえもありました。切り絵の綺麗な表紙もそうですが、単語の使い方がおしゃれなんだよね。最近は、日常慣れしていない難しい単語をやたらと並べ、ただ仰々しいだけで物語に合ってないと感じる作品も多いのですが(そういう作品を読むとすごく肩が凝ってイライラします)、桜庭さんは、そのへんの単語の使い方がしっくりしてて、リズミカルに並べてくれるので、おしゃれだなぁ、と思います。
どの話も、言葉を抜いていくと、つまりはただドタバタとジタバタとして、何の実も種もありません、というストーリーなのですが、読了後は、「架空の林檎でも、食べたらおなかいっぱい」ってところ。(これ、すごく褒めてます)
単純に物語を楽しんで、言葉を味わえる、桜庭さんワールドを堪能できる1冊です。
第1章「烏丸紅子恋愛事件」と第5章「紅はこべ」がお気に入り。
第1章では、容姿の紅子と詩情(頭脳)のアザミのザバけた関係が小気味よい。でもって、「恋は、人の容姿にするものか?それとも、詩情にするものなのか?」という恋愛における出口のない永遠のテーマのひつとを、おもしろく読ませる。

ラストは、「そんなこと考えること自体、邪道」ってとこでしょうか。
それから、5章のラストが、ふるえました。
私がたどり着きたいところってここなのよ~、みたいな。
『ハビトゥス&プラティーク』で、一日中コーヒー淹れていたい。
桜庭さんもすごく本が好きなんですね。そう思って嬉しくなりました。←作家さんに対してそれ言う?

書物をこよなく愛する人には、楽しめる物語としておすすめの1冊。
ただし、この世界観を純粋に楽しめるのは少女(か元少女)たちだけかもしれないですね。

漫画原作

タカハシマコさんによる漫画も刊行されています。

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