中脇初枝『世界の果てのこどもたち』

中脇初枝『世界の果てのこどもたち』
中学生から大人までおすすめ
戦争と平和について考える本

 

昭和20年の満州。小さな開拓団の村で出会った3人の少女たちの数奇な運命をたどる物語。

満州の最果ての地にある開拓団の村。

高知県千畑村から開拓民として一家でやってきた珠子。

同じく移住してきた朝鮮人の美子(みじゃ)。

そして、横浜で何不自由なく暮らす茉莉。

茉莉はおとうちゃまの仕事にくっついて、珠子と美子が暮らすこの村へやってきた。

ひょんな出会いをした3人の幼い少女たちは、ちょっとした冒険に出かける。

遠くのお寺へまで遠足気分で出かけた3人だったが、突然の大雨で家に帰れなくなってしまう。ひとつのおにぎりを3人で分け合い、夜を明かし無事に家族のもとへ帰る。

珠子と美子は村に残り、茉莉は横浜へと。

それぞれがふたたび、日常へと戻っていくはずだったが、

やがて第二次世界大戦が終結し…。

3人で過ごした小さな冒険の夜、彼女たちはたしかに同じ場所にいた。

自分たちの国籍も、置かれている環境も関係がなく、ひとつのおにぎりを3人で分け合い、小さな美子(みじゃ)にたくさん食べさせるのが当たり前だという優しさと信念を幼いながらに持っていた。

国は戦いと混乱の中にあったが、少なくともゆるぎない日常がそこにはあった。

戦争が終わり平和がもたらされるはずだったが、彼女たちにとって戦争の終結は、先の見えない新たな戦いのはじまりとなった。

日本人の珠子は朝鮮に残される。

横浜に戻った茉莉は、空襲で家族を失いひとりぼっちになってしまう。

朝鮮人の美子(みじゃ)は日本に渡り、在日朝鮮人として生活する。

その時に思い描いていた未来とは全く違う人生をその後、歩むことになる。

小説はフィクションだが、どのエピソードもだれかの物語なのだろう。大きくうねる国や時代に翻弄されながらも「生きること」への思いを強く感じた。

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おすすめポイント

2016年本屋大賞第3位

第37回吉川英治文学賞新人賞受賞

映画化希望です。

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【2017年】駒場東邦中学校

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