伊坂幸太郎『死神の精度』

ミステリー | 仕事 | 本屋大賞 | 直木賞

  • 【BOOKS雨だれ】中学生におすすめ50冊!
  • 直木賞候補、本屋大賞ノミネート
  • 「死神」が主人公のオムニバス短編集

死神という職業

*もくじ*
死神の精度
死神と藤田
吹雪に死神
恋愛で死神
旅路を死神
死神対老女
***

もう死んでもいいとつぶやいたことはあるが、わたしはまだ死神に会ったことがない。

彼の名前は「千葉」と言った。

彼らは仕事の度にその姿や年齢を変化させる。ひとつだけ変わらないのは名前だけだ。

彼の職業は「死神」。

死が近い人間を一週間のあいだ調査し、「死」が実行されるのに適しているかどうかを判断し、報告するのが彼の仕事だ。「可」であれば近いうちに対象者には「死」が訪れる。そうでなければ「見送り」にすればよい。彼らが対象とするのは、病気以外の死である。基本的に、人間が事故や事件に巻き込まれて命を落とす場合、それは死神が決定したと言える。

一週間⁉

たった一週間の身辺調査で、人生の終わりを告げるか否かを決定されてしまうなんて!?

探偵を雇って浮気調査をさせても数か月かかるというのに!?(こちらも一週間もあれば白黒つけられるのかもしれないが)

さらに困ったことに、ほとんどの場合は「可」を下され、近いうちに「死」が訪れることになる。

彼らは言う。

死ぬとは生まれる前の状態に戻るだけのこと。つまり人の死に意味も価値もない、と。それゆえ、誰の死も平等であるのだと。

実際、死神の仕事は形式的なものであると言ってもよい。ほとんどの場合「可」に決まっている。死神がやってきた時点で、近いうちに「死」が訪れることはほぼ免れないのだ。

そんなこと勝手に決められては困る。しかし、不思議なことに、千葉が尋ねていく人間たちは最後、人生にある種の「やりきった感」を感じさせる。

あるやくざは「弱きを助け、強きをくじく」ために命を惜しまなかった。

ある男は、一目ぼれした女性のために命を懸けた。

すべてに裏切られた男は、本当は支えられていたことを知った。

多くの死を見てきたひとりの老女は、自分の死を待ち望んでいた。もう悲しまなくてもいいように・・・。

死神の登場が彼らに、何かしらの行動を起こさせているのか、それは定かではない。

最後に登場する老女は千葉の正体を「人間ではない」と勘づくが、それ以外の人物たちは、千葉の存在に自分の死を予感などしていなかっただろう。しかし、相手はベテランの死神だ。どこか人間離れした気配に悪寒がしたり不穏な空気を感じる人は多い。

死の気配を感じた時、人は人生には限りがあったことを知る。その時になり、後悔しないように何かしらやり残したことをやり遂げようとするのではないだろうか。

その長さで人生の価値は測れない。「時間さえあれば、やり残すことがない」わけではない。人生に限りがあることを知る人は、後悔のない生き方をしようとする。いつ死神がやってくるとも限らない。悔いのないように生きたいものである。

死神の特徴

しかし、まだ死ねないというあなたのために、死神の特徴を記しておきたい。

もちろん彼らは自分が死神だなんて名乗らない。

①偶然に出会い、よく会う

ある時そっと近づき、あなたを観察するはず。

②CDショップが好き

彼らは音楽が好きで、よくCDショップでヘッドフォンをして視聴している

③素手で触られると気絶する

素手で触ることは禁止されており、規則違反をするとペナルティを課せられる。

それから、千葉に関していえば、彼はいつも傘を持っている。これは千葉に限った特徴だが、彼が仕事をする日はいつも雨である。晴天を見たことがないという千葉に、わたしはこちらの傘をおすすめしたい。これでいつでも晴れた青空がのぞけるはず。

映画・ラジオドラマ化原作

映画「Sweet Rain 死神の精度」

2008年「Sweet Rain 死神の精度」のタイトルで映画化されました。

「死神の精度」「死神と藤田」「死神対老女」の3編のエピソードが盛り込まれています。主題歌「Sunny Day」を歌うのは、物語に登場する藤木一恵。

「なにかひとつでも取り柄に恵まれるように」と願いを込められたという名前に、「自分にはなにもない」と落ち込む一恵だったが、彼女にもちゃんと才能があったということですね。

劇中でミュージシャンとしてデビューした彼女の名前で歌う、小西真奈美さんの歌声もきれいです。電話越しのクレーマーがもっと声を聴きたいと思うのもわかるかも。

監督・・・筧昌也
*キャスト*
千葉(死神)・・・金城武
藤木一恵・・・小西真奈美
藤田敏之・・・光石研
栗木・・・田中哲司
老女・・・富司純子

ラジオドラマ

2006年10月から11月にかけてラジオドラマとして全5回放送されました。

千葉(死神)の小原雅人さんの声が、死神にしてはさわやかです( *´艸`)

また、舞台化もされています。

ブックデータ(受賞歴など)

■第57回日本推理作家協会賞短編部門受賞(2004年)
■第134回(2006年)直木三十五賞候補

■2006年本屋大賞第3位

本をチェックする

続編『死神の浮力』

『死神の精度』から8年後、千葉が戻ってきた。続編『死神の浮力』も。

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