デイヴィッド・ベニオフ『卵をめぐる祖父の戦争』

『卵をめぐる祖父の戦争』 小説文学
高校生におすすめ
戦争と平和について考える本
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17歳、レニングラード

「ナイフの使い手だった私の祖父は十八歳になるまえにドイツ人をふたり殺している。」

ロスアンジェルスで脚本家として活躍するデイヴィットが、これは祖父から聞いたレニングラードでの体験である。

1942年のレニングラード、17歳のレフは、思いがけない出来事でソ連軍の兵士に捕えられた。もう命はないとあきらめていたところ、拘置所で知り合った脱走兵コーリャとともに、秘密警察の大佐からある重要任務を言い渡される。それは、この物資のない中、一週間で、卵を1ダース手に入れてくるというものだった。

日本文学が描く戦争は、どれも同じだ。悲しくて、ひもじくて、苦しくて、やるせない無力感だけがそこにある。そもそも、戦争とはそういうものなのだから、当たり前なのだけれど。

この小説は、近代戦史上最長だという900日にも及ぶ包囲戦、レニングラードを舞台に、ひもじさと苦しみに耐えながら戦争に翻弄される、若者たちが描かれている。
戦況としては、かなり暗い。なにしろもう8日間もクソが出てないのだから。
なのに、状況はどこか明るい。漫才コンビのようなレフとコーリャのかけあいに、お年頃ならではの下ネタ。

戦争×ユーモアの絶妙なバランスには、映画「ライフ・イズ・ビューティフル 」を彷彿とさせます。(こちらも映画化したら、絶対ヒットするなぁ)

戦争について学ぶ時、一番必要なのはその情報力ではなくて、学ぶ側の想像力だと思う。想像力書きたてられる、こんな小説に触れると、どんなに戦争って愚かなことか、感じることができるはず。 緊迫した戦時下の中、大佐の娘の結婚式のために卵を手に入れてこいという命令のばかばかしさと同じくらいにね。

「戦争って腹立たしくって、ばかばかしい」ってことがすごくしっくりきた。

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