- 暦づくりに生涯をささげた渋川春海の生涯を描く
- 本屋大賞受賞
あらすじ
渋川春海(安井算哲)が、日本独自の暦を作るというストーリー。
江戸時代を舞台にした歴史小説ですが、この小説には、歴史小説に欠かせない剣を振りかざして戦うシーンが出てきません!!これだけ聞くと、どこが面白いのか?と思われるでしょうが、それが読んでみると面白いんです。日本を変える大きなプロジェクトに挑む一人の男の静かなる戦いの物語です。
渋川春海は、江戸時代の数学者。当時一般的に使われていた「宣明歴」には、誤差があることを見つけます。当時、宣明歴の誤差を指摘することは、朝廷に対して間違いを突きつけることを意味します。渋川春海はその難題をどのように乗り越えるのでしょうか。
朝廷に挑み、時に間違いをし、時につまづきながらも、ひたすらに真理を追究していく晴海の姿には心を打たれます。すべてをかけて何かに打ち込む姿勢、壁にぶつかるということ、そして、それを支えてくれる人の存在、気づかされることがたくさんあります。
タイトルの「明察」という言葉の響きがいいですね。すっきりとして凛としています。渋川春海のイメージに重なります。
映画「天地明察」原作
2012年劇場公開
監督:滝田洋二郎(おくりびと、ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~)
出演:岡田准一、宮崎あおい、中井貴一ほか
原作をじっくりと読めたのもよかったですが、文字も小さめページ数も多いので、読み終えるまで時間がかかりました。映画もよかったですよ。
受賞歴など
第31回(2010年) 吉川英治文学新人賞受賞
第7回(2010年) 本屋大賞受賞
第134回直木賞候補
第7回北東文芸賞
第4回船橋聖一文学賞
第4回大学読書人大賞
2011年度高校入試 (東京・国立) 国語問題にも出典されました。
本をチェックする
歴史が好きな人・数学に興味がある人におすすめです。
出版社 : 角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日 : 2009/12/1
言語 : 日本語
単行本 : 475ページ
著者プロフィール
冲方丁(うぶかたとう)
1977年岐阜県生まれ。
幼少期をシンガポール、ネパールなど海外で過ごす。早稲田大学在学中に『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞し、小説家デビュー。ライトノベルから歴史小説まで幅広いジャンルの小説を手掛けている。
【主な受賞歴】
『マルドゥック・スクランブル』日本SF大賞受賞
『天地明察』吉川英治文学新人賞受賞、本屋大賞ほか
『光圀伝』第3回山田風太郎賞