- 自殺で家族を失った子どもたちに寄り添う中学生向けノンフィクション
- 日本が抱える社会問題や人権について考えるきっかけになる本
大切な人を失う辛さを語れる社会へ
今、日本で自殺をする人は年間約三万人にのぼるという。
未遂者をふくめると、その数はさらにふえる。
同じ数だけ、身近な人を自殺で失った人たちがいる。
本書の主人公は、中学二年生のときに父親を自殺で失った。
だれかに、父の死を「自殺」だとは言えなかった。
この社会では、自ら命を絶つことは罪とされている。それゆえ、身近な人を自殺で失った人たちの多くが、その事実を語ることを拒み、その事実と向き合うことができずにいる。
大切な人を失った傷を癒すことができないままに苦しんでいる。
NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」代表である清水康之氏は言う。
自殺は「個人の問題ではなく社会の問題」、自殺は「自ら選んだ死」ではなく「追いつめられた死」であると。
目指すべきは「生き心地のいい社会」を築き上げることだろう―――。
自殺について語ることのできる社会は、
大切な人を失った人たちの苦しみに添うこと
そして、自殺をなくすための第一歩となる。
自分にできることなんてあるのだろうか、と思わなくてもいい。
語ることで自分と向き合うことができるように、
私たちもまた、知ることで気づくことがある。
大きめの文字とわかりやすい文章で書かれた本著は中学生向けですが、大人の人にもぜひ、お子さんと一緒に読んでほしい内容です。
ブックデータ
単行本: 166ページ
出版社: そうえん社
ISBN-13: 978-4882643043
発売日: 2007/12/1
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10代で親を自死でなくした子どもたちの声を綴った1冊です。↑の本でも語られるように、自死で身内をなくした人の多くは、そのことを人にうまく伝えることができず自分の心の中に閉じ込めて我慢してしまいます。家族を救えなかった罪悪感や大切な人を失った喪失感は、消えることはないのだと思います。死を選ぶ前に、あなたの大切な人を思い浮かべてください。
ノンフィクションをもっと読みたいという人に。