穂高明『月のうた』

穂高明『月のうた』
中学生におすすめ
あたたかくて切ない家族の物語
第2回ポプラ社小説大賞優秀賞受賞

子が小学生の時に、母が亡くなった。
それから二年ほどして、父が再婚した。
父と民子と宏子さん、いまは三人で暮らしている。

宏子さんが家にやってくると入れ替わりで、それまで一緒に暮らしていた婆(母方の祖母)は老人ホームに入った。
「この女が婆を追い出したんだ」
民子は心では思っていても、口や態度に出すことはない。

料理の出汁をとることもしなければ、
冷凍食品を使うことにも躊躇しない、

宏子さんは母や祖母とは全くちがうタイプの女性だが、それがどうだというでもなく「父の奥さん」に反対する理由もないからと割り切り、民子なりに宏子さんを受け入れようとしている。

国語の授業で、母親宛ての手紙を書くのだって、
本当はそんなの書きたくないし、
先生に「どっちのお母さんに書くの?」とイラつく質問をされたって、適当に返事して、なんとか書き上げる。

年齢のわりに大人びたところがある民子は、複雑な心境を抱えながらもそれを不満として外に出すことはない。

そんな民子を知っているから、まわりの人たちも家族を気遣いながら見守っている。

この物語は、民子と民子を見守る人たちが語り手を変えながらつづられる物語。

どの人もみな、まるで月がいつも闇を照らすようなあたたかさで、民子を支えている。

民子と月を見上げて「私はこの子のことがすごく好きなんだ」と宏子は思う。

民子の母の親友だった祥子は、いつか民子の母と月を見上げた思い出を民子に語ってやる。

民子のためにも新しい家族の形を作ろうと民子の父に決意させたのは、あの物語に出てくるような『大根の月』だった。

わたしたちが月の裏側を見ることが叶わないように、
月もまたこの地上に降り立つことは叶わない。
いつも見上げればそこにあって、わたしたちを見下ろしている。

宏子と入れ替わりで老人ホームに入りたいと言った祖母は、こう語った。
「たみこと宏子さんはいくら頑張ってもほんとの親子にはなれねえ。でもなあ、そっぽむいたまんま暮らしていくわけにはいかねえよ。おんなじ屋根の下でおんなじもの食べてるものどうしがいがみあっていたら、おてんとさんに申しわけねえだろうが」
家族って、そういうものだと思う。
どんな時も、向き合っていかなければならない。
いい時も、悪い時も、そこにいてくれる。
「これが私の家族なのだ」と受け入れていく。
あたたかくてやさしい物語。

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おすすめポイント

第2回ポプラ社小説大賞優秀賞受賞

私立中学校国語入試問題に出典

【2016年】佼成学園中学校

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