カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』~静かなるSFディストピア

カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』
【BOOKS雨だれ】高校生におすすめ50冊!
ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロの代表作
ブッカー賞最終候補ディストピア小説
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近未来のSFドラマ

幼いころヘールシャムの施設で育ったキャシー。自他共に認める優秀な介護人であり、【提供者】の世話をする仕事をしている。

この仕事をしていると、時には、同じ施設出身者の【介護人】になることもある。キャシーはこれまでに、親友だったルースとトミーの介護をしたこともある。まもなく介護人の仕事を終えようとしているいま、ヘールシャムでの日々に思いをはせる…。

おしゃれな表紙から音楽がテーマの小説かと想像したのは私だけではないはず。

近未来SFバンド小説ではありませんよ。

 

キャシーが幼いころに育ったへーシャムの寄宿舎での生活を回想しながら物語がはじまります。

そこがどんな施設なのか、なぜ彼らはそこで生活をしているのか。

読者はもちろん、登場する子どもたちも謎を抱えたまま物語は進みます。

モノクロの表紙のように、近未来を描きながらも物語は静かに、少しづつ謎を明かしてゆきます。彼女たちの運命を匂わせながら、その静かさの中に描かれる彼女たちの心の揺れ。

翻訳小説ですが、日本の純文学のような穏やかさを感じさせる文章の美しさもあります。最後には、私たち自身の未来についても考えさせられるストーリー。

ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロさんの作品の中でも、よく知られていて読みやすい作品です。

著者カズオ・イシグロさんは日本人?

カズオ・イシグロさんは、1954年長崎生まれ。5歳のとき海洋学者の父親(←海洋学者ってすっごく憧れる~)の仕事の関係でイギリスに渡りました。

一時はミュージシャンを目指し、やがてソーシャルワーカーとして働きながら執筆活動をはじめます。

デビュー作『遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)』が、王立文学協会賞を受賞。

以降、ウィットブレッド賞、ブッカー賞も受賞しているイギリスでは超ベストセラー作家です。

漢字では「石黒 一雄」。

現在、国籍はイギリスで、日系イギリス人作家となります。こんなすごい日本人がいるなんて、全く知りませんでした。

映画・舞台・ドラマ原作

『わたしを離さないで』は、イギリスで映画化されているほか、日本ではドラマ化や蜷川幸雄さんにより舞台化されるなど人気の作品です。


2010年公開、監督:マーク・ロマネク

英国インディペンデント映画賞インディペンデント映画賞ほか監督賞など受賞

英国インディペンデント映画賞、ハリウッド映画祭、パームスプリングス国際映画祭にて俳優さんたちも賞を受賞しています。

◇舞台原作

2014年、蜷川幸雄さんの演出により舞台化されました。

◇ドラマ原作

2016年TBSにてドラマ放送されました。原作はイギリスを舞台としていますが、これを日本に置き換えています。主人公キャシーは「恭子」、孤児院ヘールシャムは「陽光学苑」となりました。設定を変えただけでも、雰囲気がだいぶ変わります。

出演:綾瀬はるか、三浦春馬、水川あさみ、ほか

おすすめポイント(受賞歴など)

BOOKS雨だれ 2005年ブッカー賞・最終候補

BOOKS雨だれ 2017年カズオ・イシグロがノーベル文学賞受賞

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