第160回(2018年下半期)芥川賞と直木賞候補、各5作品が発表されました。
芥川賞は、正式名称「芥川龍之介賞」といいます。通常は略して「芥川賞」と呼ばれ、純文学の新人に与えられます。
直木賞は、正式名称「直木三十五賞」。通称「直木賞」は無名新人及び中堅作家による大衆文学に与えられる賞です。
芥川賞・直木賞ともに1935年に創設されました。太平洋戦争が始まる前からある、歴史ある文学賞です。(第二次世界大戦中は中断されました)発表は年に2回です。
注目:芥川賞候補『平成くん、さようなら』
芥川賞候補作品で注目しているのは、古市憲寿さんの『平成くん、さようなら』。
クールなコメンテーターとしてテレビでもよく見かける社会学者の古市憲寿さんの初の小説です。
(BOOKデータベースより)安楽死が合法化された現代日本のパラレルワールドを舞台に、平成という時代と、いまを生きることの意味を問い直す、意欲作!
通常、芥川賞候補が発表された時点で単行本が出版されているものはほとんどなく、候補作にあがり慌てて書籍化されるパターンが一般的です。それは芥川賞が新人に贈られる賞のため候補作家は”無名の新人さん”であることがほとんどだから。以前、第153回芥川賞を受賞した又吉直樹さんの『火花』は、ノミネート前に単行本が刊行されていましたが、それは又吉さんがすでにお笑い芸人として活躍されていたからです。今回の候補作の中でも、唯一すでに単行本が刊行されているのが古市さんの『平成くん、さようなら』です。
社会学者の視点から、安楽死をひとつのキーワードに「平成」という時代を浮かび上がらせる。芥川賞候補と聞いて、「直木賞」の間違いでは?というのが私の第一声でしたが、果たしてこれは純文学なのか!?早くもあちこちで話題となっています。
芥川賞候補作
上田岳弘『ニムロッド』
鴻池留衣『ジャップ・ン・ロール・ヒーロー』
砂川文次『戦場のレビヤタン』
高山羽根子『居た場所』
古市憲寿『平成くん、さようなら』
町屋良平『1R(ラウンド)1分34秒』
直木賞候補作
今村翔吾『童の神』
稲垣涼介『信長の原理』
真藤順丈『宝島』
深緑野分『ベルリンは晴れているか』
森見登美彦『熱帯』
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