「2018年二十歳が一番読んだ小説ランキング」住野よる『青くて痛くて脆い』ほか3冊ランクイン

2018年に二十歳が一番読んだ小説ランキング

ハイブリッド型総合書店「honto」が「2018年二十歳が一番読んだ本ランキング」を発表しました。
これは「honto」サイトとサービス実施店舗である丸善、ジュンク堂書店、文教堂、啓林堂書店で購入された書籍や電子書籍の販売データをもとに集計したもの。

二十歳に最も読まれた本は、住野よるさんの新作『青くて痛くて脆い』でした。大学のサークルを舞台にした大学生の物語として多くの二十歳が興味をひかれたのは納得!ですね。

『青くて痛くて脆い』『君の膵臓をたべたい』『また、同じ夢を見ていた』と、10位までに住野よるさんの作品が3作品もランクイン。また『君の膵臓をたべたい』は2016年からランクインしているロングセラー小説となっています。朝読書でも昨年、高校生の人気ランキングでトップ3を独占。高校生・大学生に圧倒的な人気のある作家さんといえますね。

ランキングは以下のとおり。

第1位: 住野よる『青くて痛くて脆い』

傷つくことを避け人と距離を置くことをモットーとしている大学生・楓に、自分を重ねて読んだ二十歳も多かったのではないでしょうか。傷つくことは痛みを伴い、その痛みは簡単には消えないけれど、その痛みは少年を大人に変える。傷つくことを乗り越えて、理想を語れる大人になりたい!と感じてもらえたらいいな。

第2位:宮下奈都 『羊と鋼の森』

羊と鋼の森
文藝春秋
宮下奈都

2016年本屋大賞を受賞し、映画かもされ話題となりました。偶然の出会いから、調律の仕事に魅せられ、ピアノ調教師を目指す道へ踏み出す青年の成長物語です。時に厳しくあたたかい人たちとの交流や美しく瑞々しい文章に余韻の残る1冊でした。

第3位: 住野よる『君の膵臓をたべたい』

病院で偶然拾った「共病文庫」と書かれたそのノートは、クラスメイトの少女がつづる闘病日記だった。彼女が余命いくばくもないという秘密を共有することになった僕と彼女の残された日々が描かれます。住野よるさんのデビュー作。実写・アニメ映画化もされた話題作。まだ読んだことがないという人は、さっくりと読みやすいのでこの機会に手に取ってみませんか。

第4位: 辻村深月『かがみの孤城』

かがみの孤城
ポプラ社
辻村深月

学校へ行けなくなってしまった中学1年生の安西こころ。ある日、部屋にある鏡の中の世界に入りこんでしまう。お城の中のようなかがみの中の部屋のどこかに、”願いがかなう鍵”が隠されているというが…。2018年本屋大賞を受賞したファンタジックなライトミステリー。

第5位: 住野よる『また、同じ夢を見ていた』

住野よるさんの2作目。リストカットを繰り返す女子高生”南さん”、”アバズレ”さんと呼ばれる女性、一人静かに余生を送る”おばあちゃん”。友達のいない小学生の”私”が3人の女性たちと出会う中で、幸せについて考えるファンタジックでリアルな物語。

第6位: F『真夜中乙女戦争』

今回のランキングの中で唯一、名前を知らなかった作家さんでした。Twitterフォロワー数19万人を超え、10代・20代から圧倒的な支持を得ている「F」がつむぐ物語。

(内容紹介より)友達はいない。恩師もいない。恋人もできない。好きな人の好きな人は私ではない。夢も趣味も特技もない。InstagramもTwitterもYouTubeもくだらない。なにもかもが眩しく、虚しく、どうでもいい。
東京で一人暮らしを始めた大学一年生の「私」は、夜になっても眠ることができない。やりたいこともなりたいものもなく、無気力な日々の中、「私」はサークルに入り冷酷で美しく聡明な「先輩」と出会う。しかし彼女一人を除いて誰とも馴染めず、すぐそのサークルとも疎遠となる。そんな「私」を唯一潤わしたのは、毎晩のように東京タワーの近くまで歩いて行き、毎晩のようにタワーだけを眺め続ける、そんな無意味な行為だけだった。 講義にもサークルにも行かず、散歩をするか、あるいは図書館で勉強を続けるだけの生活に半ば絶望していた夜、図書館横の喫煙所に佇んでいると見知らぬ男が「火、ある?」と声を掛けてきた。
この男との出会いが、これから起こることのすべて―悪戯、銅像破壊工作、大学破壊工作、暴動、そして東京破壊計画―つまり、最悪の始まりだった。一方、「私」と「先輩」の距離はだんだんと接近していく……。

第7位:今村昌弘『屍人荘の殺人』

屍人荘の殺人
東京創元社
説明文を入力してください

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねる。そこで巻き起こる連続殺人事件。デビュー作にしてミステリ3冠に輝いた奇想な本格ミステリ。映画化の前に読んでみるのもいいかも。

第8位: 村田沙耶香『コンビニ人間』

コンビニ人間
文藝春秋
村田沙耶香

彼氏なしの36歳、コンビニバイト歴18年の私。マニュアル通りにコンビニで働いている時だけは、自分が世界の歯車になれると感じる。社会にうまく適合できない若者たちの姿を通して「普通」とはなにかを問いかける、155回芥川賞受賞作。

第9位: 川口俊和『コーヒーが冷めないうちに』

コーヒーが冷めないうちに
サンマーク出版
川口俊和

とある喫茶店に、過去に戻れるという座席がある。ここには、過去に後悔を抱えた人たちが訪れる。もしも、あの時に戻れたら…。昨年、有村架純ちゃん主演で映画化もされました。胸がいっぱいになる、こころ温めてくれる物語。

第10位: 森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』

こちらも意外なランクイン。昨年夏、映画化からの人気でしょうか。単行本の刊行は2010年。小学4年生のぼくが住む町に、その夏、突然ペンギンが現れた!?森見さんらしい、魅力的なキャラクターたちによる、ちょっとふしぎな日常。

二十歳におすすめの本

【BOOKS雨だれ】が二十歳におすすめする本を紹介します。「honto」さんのページでも、二十歳におすすめの本を紹介していますよ。

森博嗣『孤独の価値』

孤独はネガティブか。他者と過剰につながりたがる現代は〈絆の肥満〉状態にある。孤独の時間がわたしたちにもたらすもの。自分と向き合い、ゆるぎない価値観を構築することで「自由」を手に入れることができる。孤独の価値を見直す1冊です。

二十歳のみなさん、新成人おめでとうございます。これからもいい読書を!