- もしもあなたの子どもが殺人罪の容疑者になったら子供を信じ切ることができるのか
- 中学生の少年犯罪をテーマにした本
- 第37回吉川文学新人賞受賞作
もしも、自分の子どもが殺人の容疑者になってしまったとしたら!?冷静に子どもの無実を信じることができるだろうか。少年犯罪の闇を切り込むミステリー。
あらすじ
少年の遺体が発見された。
藤井という中学二年生のその少年の遺体は、何者かに胸を刃物のようなもので刺されていた。
吉永圭一は、数年前に妻と別れ、今はひとりで暮らしている。少年の遺体が発見されたその翌日、吉永のもとに警察がやってきた。訳がわからないままに質問を受け、やがて、妻と暮らすひとり息子の翼が少年の事件の容疑者として逮捕される。
肝心の息子は、何も話さない。親として息子を信じたいと思いながらも、自分が息子のことを何も知らないという愕然とする事実を突きつけられる吉永。
動物が好きで優しかった息子が、本当に同級生の少年を殺したのだろうか。
最後には、著者なりの答えを示すが、答えなんてあるのかな。
親が親の責任を果たせないことの責任を子供が背負わされる。藤井君も翼、君も、どちらもその被害者だというのは都合のいい話だといえるだろうか。
「子供のことを知ろうとしないってことは、子供を捨てたことと同じことなんじゃないの」
心を開こうとする翼くんの数少ない言葉のひとつひとつが重みをもって迫る。
「うちの子にかぎって」という言葉は、どの親も十字架のように掲げている言葉だが、果たしてそれは、子どもを信じているからこそ言える言葉なのか。
それとも彼らが信じたいのは、自分の子育てなのか。
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文庫: 464ページ
出版社: 講談社
ISBN-13: 978-4062937146
発売日: 2017/7/14
受賞歴など
第37回吉川文学新人賞受賞作
薬丸岳さんは少年犯罪にかかわる本を多数てがけています。興味のある方はぜひほかの作品も読んでみてください。