三浦しをん『光』

三浦しをん『光』
  • 20年前に消えたはずの事件が再び暴かれる
  • 三浦しをんが描くサスペンスミステリー
  • 大森立嗣と瑛太のタッグで話題となった映画化原作

あらすじ

美浜島は勾玉のような形をした美しい島だ。青空と緑濃い稜線を際立たせた美浜山、そこには真っ赤に咲き誇る椿の谷と言われる名所がある。

信之は、この小さな島にくらす中学二年生。島の中学生は全部で6人だけ、中学二年生は信之と美花のふたりしかいない。美花は、東京から芸能プロダクションのスカウトがくるようなきれいな少女で、ふたりはいつのころからか付き合っている。

信之は、なんとなくこのまま美花とふたりでずっと、島でくらしていくものだと思っていた。

しかし、その夢はあっけなく崩れ去った。

ある夜、美浜島は大きな津波に襲われた。

運よく生き残ったのは、信之と美花、幼なじみの輔(たすく)、輔の父・洋一、灯台のじいさん、そして島に偶然来ていた釣り客の山中の6人だけだった。

間もなく救助がやってきたが、島はすべて流され壊滅状態となった。

島ですごす最後の夜、事件は起こった。

信之は美花を守るために、罪を犯した。

事件の真相は明かされないまま、彼らは美浜島を離れ、信之、美花、輔の3人はそれぞれ別々の人生を歩むことになる。

しかし、それから20年後。

妻・南海子と一人娘の椿と静かな生活を送る信之の前に、輔が現れる。輔は、あの事件の真相を知っているとほのめかし・・・。

3人の間で止まっていた時間が再び動き出す。

なによりもこわかったのは、いずれ訪れる朝の光だ。真実が眼前に明らかになる瞬間が、少しでも遠ければいいと思った。

おすすめポイント

抑えることのできない人間の業、そして暴力性がこの小説のテーマになっています。続きが気になり一気読みでした。とても引き込まれる作品です。

暴力はやってくるのではなく、帰ってくるのだ。自らを生み出した場所ー日常のなかへ。

『神去なあなあ日常』『風が強く吹いている』『舟を編む』あたりが好きな人には、これまでの三浦しをんさんとは少し違った印象を与えるかもしれません。

読んでいる途中から三浦しをんというよりも角田光代っぽさを感じた。角田光代さんが好きな人にはおすすめです。

映画『光』原作

2017年11月劇場公開。
監督:大森立嗣
キャスト:井浦新、長谷川京子、瑛太、橋本マナミ

「まほろ駅前多田便利軒」の大森立嗣監督が三浦しをんの原作でふたたびタッグを組んだ話題作。物語の中でキーパーソンとなる輔役のキャストが気になっていましたが、瑛太さん、はまり役です。

著者プロフィール

三浦しをん
1976年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
2000年『格闘する者に○』でデビュー。映画化やアニメ化されている作品も多く人気の作家さん。
【受賞歴】
『まほろ駅前多田便利軒』直木賞
『舟を編む』第9回本屋大賞
『あの家に暮らす四人の女』織田作之助賞

ブックデータ

文庫: 376ページ
出版社: 集英社 (2013/10/18)
ISBN-13: 978-4087451214
発売日: 2013/10/18

中学生たちが引き起こした事件。おすすめは高校生から。男性と女性で感想が分かれそうな作品ですね。

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