- ダン・ブラウンの人気シリーズ・ラングドン第4弾!!
- 歴史美術ミステリー
あらすじ
人気本の図書館予約は長い「待ち」を覚悟しなければならないものだが、11月に出たばかりのダン・ブラウンの新刊が新年早々に読めるなんて、今年はものすごく運がいい。今年の運をここで早くも使い果たしてしまったのでなければいいけれど。
シリーズも第4弾なのでいまさらおさらいも必要ないかもしれないが、主人公ロバート・ラングドンをご紹介。
ロバート・ラングドンは、ハーヴァード大学教授で専門は宗教象徴学。宗教象徴学とは簡単にいうと「宗教におけるシンボル」を研究している学問と言えます。主教象徴学という学問が実際にあるのかどうか、調べてみたのですが、わかりませんでした。大きく分類される「宗教学」や「歴史学」あるいは「記号論」などを組み合わせた学問という感じでしょうか。
実在するのかどうか調べがつかないような学問なので、研究者は世界でもごく限られた人だけ。だから、宗教がらみの不可解な事件が起こると、ラングドン教授が呼び出されることになる。たとえ地球の裏側にいても。大事な睡眠を妨げることになっても、だ。
『ダ・ヴィンチ・コード』の時だって、ルーヴル美術館の館長ソニエールが不気味で不可解な死を遂げた時、フランス警察はすぐにラングドンを叩き起こし捜査協力を願い出た。もちろん通常、事件の捜査協力ならばそれなりのところから正式に以来を受ける。
それが今回は、ラングドンの身に何が起こっているのか自身も全く把握できていない状況から物語ははじまる。
なにもかもが謎
ラングドンはひとりの女性と出会っていた。
・・・という夢から目覚めたラングドンがいたのは、病院のベッドの上。
なぜこんなところにいるのか!?直前の記憶が全くない。
記憶を失ったままのラングドンはなぜか命を狙われ、そこに居合わせた女医・シエナと共に逃亡がはじまる。
しかしどこへ?
敵は何者なのか?
何の謎を追っているのか?
そもそも追手は敵なのか?
一緒にいる人は味方なのか?
なにもかもが謎というスリル。
それでももちろん、いつもの如く世界的芸術品が絡んだ謎かけが次々と迫ってくる。自分の置かれている状況が分かっていないのに、謎を解き明かしながら進むラングドンがすごすぎる。
手掛かりはダンテの『神曲』
今回、ラングドンがその謎解きに挑むのはダンテの『新曲』。
中学生の歴史でも登場する作品ですが、この本を読むまでわたしは『神曲』を絵画だと思い込んでいた。「神曲」という言葉の響きから推測するような音楽でもない。
作者のダンテ・アリギエールは、13世紀から14世紀のイタリアを代表する詩人。『神曲』はダンテによる長編叙事詩であり、イタリア最大の古典と言われる。宗教のみならず文学史上も重要な作品となる。地獄編・煉獄編・天国編の三部構成となっている。
作品全体を通じ、非常に「3」にこだわった構成となっていて、ローマカトリックの教義「三位一体」を文学で表現したとされている。
三部構成である『新曲』の最初<地獄篇(インフェルノ)>が作品のタイトルになっている。こうした『神曲』にまつわる謎も小説を読み進めるにつれ解説され、新たな歴史知識が増えながら、謎が深まっていくのが、ダン・ブラウンの小説の面白いところ。
地獄・煉獄をのぞき天国へと導かれたダンテに謎を絡めながら、人口爆発による人類滅亡をテーマにし、自分の未来が巻き込まれている感覚にもなる。
馴染みのない美術品や建築物は、かたわらにパソコンを開き検索をかけながら読むのがおすすめですよ。
映画『インフェルノ』原作
2016年映画化。
【監督】ロン・ハワード。
【脚本】デヴィッド・コープ
【キャスト】
ロバート・ラングドン:トムハンクス
シエナ・ブルックス:フェリシティー・ジョーンズ
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単行本で上下巻、文庫本で上中下三巻です。