- 【BOOKS雨だれ』中学生におすすめ50冊!
- 1800年代、江戸時代に実在した伝記
- 2011年ニューベリー賞オナー受賞
- 読書感想文にもおすすめ
日本ではじめてアメリカを発見した少年
日本が鎖国を行っていた江戸時代、ひとりの少年がアメリカに渡った。彼はアメリカでこう呼ばれた。
「ジョン万次郎」
これはアメリカ人によって書かれた、ジョン万次郎の伝記小説である。
14歳の時、漁船が遭難し、アメリカに渡った万次郎。
現地では、アメリカに足を踏み入れた最初の日本人として「アメリカを発見した少年」と呼ばれた。
海の向こうには鬼が住んでいて、捕まったら喰われるとか思われていた時代。
日本とはスケールも考え方も違うアメリカでの生活へのカルチャーショック。
それから、アメリカ人による差別。
国を離れ、家族と離れ、10代を知らない国で過ごすことの、不安や孤独はどれほどだろう。
やがて、万次郎は自力で資金を調達して、仲間を探し、日本に戻ります。10代でそれをやりのける逞しさったら。
ところが、日本に戻ってからも、すぐには家に戻れなかった。
私は、この章が一番、心つかまれました。
やっと日本についたのに家に帰れない焦りや切なさとか、あとは島津斉彬の前でアメリカについて語るところとか。
11年の歳月を経て、故郷にたどり着いたその時、家は…、母は…。
そして、ラスト土佐藩主・山内容堂の使いの者が万次郎を迎えに来るのですが、密偵として再び囚われの身となるのか…、はたまた…。
サムライになった漁師
原題は「HEART OF A SAMURAI」
漁師の子として生まれ、漁師として生きていく。
そういう人生しか選べなかった時代に、侍となり、日本を動かすキーパーソンとなった万次郎の人生の、なんてドラマチックなことはもちろん、一人の青年の成長記として、時代を忘れてのめりこ
秀吉の出世物語よりも、心動かされるなぁ。←ここは好みだから
いくつかフィクションも織り交ぜてあるが、登場人物の多くは実在する人物です。
ジョン万次郎について書かれた本はいくつもありますが、万次郎の青年期を直に感じられるような著書として、断然おすすめ。著者は海外の作家さんですが、金原さんの翻訳が、いつもながらとってもいい。
歴史上の人物としてのジョン万次郎を知らなくても楽しめるが、簡単な経歴を知っていると読みやすいかもしれない。そういう方は、あとがきを少し読んでから本文を読んでもいいかも。
こんな人におすすめです
☆伝記やノンフィクションが好きな人
☆冒険や新しい世界に憧れる人
☆自分はなにをするべきか悩んでいる人
ブックデータ
文庫: 336ページ
出版社: 集英社
ISBN-13: 978-4087607505
発売日: 2018/5/18
受賞歴など
2011年ニューベリー賞オナー受賞
光村図書中学1年生国語教科書で紹介
【2013年】第59回青少年読書感想文コンクール課題図書(高等学校の部)
あわせて読みたい
伝記を読みたいけれど、長い本を読むのは苦手という人には伝記絵本はいかがですか?興味のある人をみつけたら少し長い伝記にも挑戦してみてください。短い時間にも読み切れるので朝読書にもおすすめです。
この本を読んだみんなの感想