マーギー・プロイス『ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂』~日本ではじめてアメリカを発見した少年

ジョン万次郎
  • 中学生・高校生に読んで欲しい歴史小説
  • 2011年ニューベリー賞オナーをはじめ数々の児童文学賞を受賞している10代におすすめの本
  • 読書感想文にもおすすめ
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日本ではじめてアメリカを発見した少年

ジョン万次郎の波乱に満ちた人生を描いたノンフィクションノベルを紹介したい。
この本を手にしたのは、彼が実のところどんな人物なのかよく知らなかったからだ。
江戸時代にアメリカに渡った少年、鎖国を終わらせる開国のキーパーソンであること。高校時代に歴史を選択していたが、ジョン万次郎について知っているのは、こんなことくらい。

アメリカ人作家によって書かれた本であるということも、この本を手にした理由のひとつ。
日本ではよく名前の知られている人物だが、アメリカで伝記が出版されるほど知られているとは。

ジョン万次郎は「アメリカを発見した少年」とも呼ばれて、アメリカに足を踏み入れた最初の日本人として彼の名前や功績は広く知られているそうだ。これは、ぜひ日本でも読まれるべき1冊である。

日本では江戸時代に、外国勢力の拡大を懸念して、海外諸国との交流や出入国を禁じる鎖国政策を行っていた。1639年から1854年のおよそ200年の間、鎖国は続く。人々は、海の向こうには南蛮人と呼ばれる鬼がすみ、捕まったら喰われると本気で恐れていた。

海の向こうにはいったいなにがあるのか。
世界はどれほど広いのか。
人々にとって、海の向こうは未知の世界だった。

万次郎の人生は波乱と奇蹟に満ちた壮大な物語だ。

1841(天保12)年、万次郎が14歳の時、乗っていた漁船が遭難する。仲間とともに無人島に漂着し、その後、通りかかったアメリカの船ジョン・ハウランド号に救助される。アメリカに渡った万次郎は、航海学校で学び、帰国のための資金を自分で調達し、11年の時を経て、仲間とともに日本に戻ってくる。帰国後は幕府に仕え、開国に尽力した歴史的人物となる。

本作では、アメリカに残された資料を基にいくつかフィクションも織り交ぜながら、少年期から青年期の万次郎の暮らしが豊かな表現で生き生きと描かれている。日本の小さな漁村に生まれ育った万次郎の目に、当時のアメリカはどう映っただろうか。

大きな驚きと発見の連続、同時に、万次郎は差別や偏見にも遭遇する。持ち前の前向きさや忍耐強さで逆境に屈することなく、ひたむきに生きる万次郎の姿は強い勇気を与える。

私が一番心をつかまれたのは、帰国後のシーン。日本に戻ってからも万次郎には苦難が待ち受けていた。国からは密偵と疑われ、すぐには家に戻れない日々が続く。自由と意思を尊重する国アメリカからの、この日本の対応はどうにかできないの?と憤りを感じてしまうよね。

今回も、金原瑞人さんの翻訳がとってもいい。金原さんはあとがきでこう語る。

彼の一生は、波乱万丈の冒険小説であり、壮大な立身出世物語であり、感動的なヒューマンドラマであり、また一方、激動の幕末から明治にかけての日本とアメリカの政治戦略の縮図でもある。

「漁師の子が侍になる」なんて絶対に不可能だった時代に、侍になりたいと夢を語った少年は、アメリカで大きなチャンスを掴み不可能を可能にする。ジョン万次郎の数奇な人生には、人を魅了する力(ストーリー)と希望がある。

受賞歴など

「HEART OF A SAMURAI」(原題)は、優れた児童文学に送られるニューベリー賞オナーのほか多数の児童文学賞を受賞し、海外でもOlder Readersへのおすすめ本として紹介されている。日本の10代にも、ぜひぜひおすすめしたい。

2011年 ニューベリー賞オナー
2011年 バンク・ストリート教育カレッジ選定絵本歴史小説部門(12〜14歳)Bank Street Colledge of Education best book of the year 2011 (PDF)

2011年 アメリカ図書協会Notable Children’s BooksOlder Readers
2010ー2011年 アジア太平洋アメリカ図書館協会(APALA)Asian/Pacific American Awards for Literature(児童文学部門)
2010年 ニューヨーク公共図書館によるOlder Readersのための児童文学
ほか、多数の児童文学賞を受賞。

日本では、第59回(2013年)青少年読書感想文コンクール課題図書(高等学校の部)に選出されています。読書感想文にもおすすめです。個人的には映画化希望。

こんな人におすすめです

☆伝記やノンフィクションが好きな人
☆冒険や新しい世界に憧れる人
☆自分はなにをするべきか悩んでいる人

ブックデータ

ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂
集英社
マーギー・プロイス (著), 金原 瑞人 (翻訳)

文庫: 336ページ
出版社: 集英社
発売日: 2018/5/18

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文芸(YA)
この本の担当者
ゆう

「おいしいごはんと本があれば人生はぐんと豊かになる」
食べることと読むことが好きです。
学校図書館(小・中・大学)で働く本好き。よみきかせ、図書ボランティアなど子どもと本をつなぐ"みーとぶっくす"活動がライフワーク。本を通して人と人がつながることのお手伝いができたらうれしいです。
2021年、小さな移動本屋さんはじめました。(Instagram)

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