市川朔久子『紙コップのオリオン』

『紙コップのオリオン』
  • 高学年から中学生向け委員会
  • 生徒会にがんばる中学生の物語

生徒会や委員会活動って部活動に比べて、地味というか、注目度も熱中度も低めなのはなんでだろう。内申では好感度が高めという理由で「所属」したいって人は多いみたいだけど。

本の紹介(あらすじ)

論里(ろんり)は中学2年生。
ある日、母さんが書き置きを残して突然家出した。
学校ではひょんなことから「創立二十周年記念行事実行委員」をすることになる。一緒に委員をすることになったのは、同じクラスの元気と水原白(ましろ)と河上大和。
ましろはちょっと変わっている女の子。あちこちはねた髪の毛にぶっきらぼうな言い方、空に色図鑑を掲げて色の確認なんかしちゃうような。大和とは小学校のころは仲がよかったけれど、今ではいつもひとりで無口でやたら目が鋭く、先生からの呼び出し回数もダントツトップってやつ。
いったいどうなるのこれ?って投げ出したくなるようなことが次々に起こるんだけど、論里はものすごくいい奴で、そんな状況にも「まぁなんとかなるか」って感じで、明るくやり過ごす。
家出した母さんは、ブログで旅先からの写真をアップしたりなんかして。血のつながりのないお父さんとの関係も少しづつ変わってきたり。やる気のなかった委員会も思いつきで出したキャンドル・ナイトのアイデアが採用されたり。だけど、果たして12月の寒空の中、キャンドルイベントは成功するのでしょうか。頑張りすぎないつもりの論里だったけれど、イベント成功に向けてすっかり夢中になっちゃうんだよね。

いいアイデアやイベントは一人の力では到底できない。みんなで少しづつ意見を出し合って、ぶつかり合って、いいところを認め合って、ひとつの形を作り上げていくのは、実際に体験した人にしかわからないおもしろさがあります。委員会や生徒会活動もいいなぁって思える1冊です。

本をチェックする

国語入試問題に出典
【2016年】芝浦工業大学附属中学校
【2014年】跡見学園中学校

この本もおすすめ

↓ 同じ作家の本を読みたいなら ↓