- 高学年から中学生向け
- 第二次世界大戦中の強制労働を描く
- 戦争と平和について考える本
トンネルの秘密
中学1年生の保と小学1年生のカナは、自然豊かな東北の山深い集落に暮らす兄妹。カナはある日、バス停で見慣れないやせっぽちの男の子と出会った。その男の子は、”ほらあな”に大切な忘れ物をしたと言う。
保は、夏休みの宿題で集落にあるトンネルのことを調べることに。ところが、周りの大人に聞いてもなぜかみんな口をつぐむ。それどころか、トンネルのことを調べてはいけないと怒られてしまう。
大人たちが隠そうとしているトンネルの秘密とは一体なにか。それは、戦争による悲しい歴史の物語だった。
花岡事件をモチーフ
この小説は、戦争中に実際に起こった「花岡事件」をモチーフに描かれています。花岡事件について知らないという人はネタバレになってしまうので、ぜひ物語を読んだ後に調べてみてください。保は、ゲーム好きで勉強が苦手なごくふつうの中学生ですが、トンネルの秘密について調べたことをきっかけに、戦争や平和について考えます。カナが出会ったやせっぽちの男の子もまた、秘密を明かすカギになります。
戦争をテーマにした小説というと、リアルで辛い過去に直面する重いイメージがありますが、この小説は事実としての大事なポイントはしっかりと抑えながら、児童文学らしくやわらかくまとめています。
現代の子どもたちが、戦争の過ちを知り、犠牲となった人たちの思いを理解しようとする姿を通じて、戦争がいまの私たちにどうつながっているのかを考えるきっかけを与えてくれる1冊です。ぜひ手に取ってみてください。
おすすめポイント
小学校高学年から中学生向け児童書
実在の事件をモチーフにした物語として、戦争と平和について考える本
第11回読書感想画中央コンクール指定図書(中学校・高等学校の部)
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『霧の流れる川』
著者名:岡田衣世子
出版社 : 講談社
発売日 : 1998/7/1
単行本 : 183ページ
ISBN-13 : 978-4062092500
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