- 小学校高学年から中学生向け
- 虐待を受けた犬と少年が命の重さを考える物語
- 動物が好きな人、科学が好きな人にも読んでほしい
大好きだったペットが死んでしまって、どんなに悲しんでも、もう二度と会うことができない。それは当たり前で仕方がないことだとわかっていても、もしも、そのペットが同じ姿でまた生まれてくることができるとしたら?
本の紹介とレビュー
航(わたる)は小学5年生。
航の父は動物病院を営む獣医をしています。航は勉強は得意だけど、運動も人と話すのも苦手で親友と呼べる友だちもいない。クラスではガキ大将の勇輝になぜか目をつけられ、靴を隠されたりいじめを受けている。
その日も嫌がらせを受けて落ち込みながらの帰り道。
勇輝たちを避けるため原っぱの空き地を通り抜けようとして、航は段ボールの中でうずくまる子犬を見つける。
思わず抱き上げた子犬は、がりがりにやせていて後ろ足は切られていた。生まれつきではなく、意図的に傷つけられたその足で、怯えながらも懸命に立ち上がり、歩こうとする子犬。
「この犬、ぼくが飼っていい?」
航は子犬に希(のぞみ)と名付けて飼うことに決める。
希との出会いは、航を変えていく。
希のおかげで航にはちょっと意外な友だちができる。航は、その友達と夏休みの自由研究で盲導犬について調べる中で、あるホームページを見つける。
それは、死んだペットと同じ遺伝子をもつクローンペットを誕生させるというものだった。
毛色、形、持って生まれた性質など、遺伝子をそのまま受け継いだ、まさに命のコピー。必要な命だけが生まれてくれば、悲しい思いをする命を減らすことができるのではないか、そんな風に言う人もいる。でも本当にそうだろうか。
『クローン・ドック』は、人間と動物のかかわり方や命の重さについて考えさせられる物語。ここで語られる物語は、架空の世界のSFではない。この物語に登場するような、大切な命を失った人たちの悲しみを癒すための「命のビジネス」は現実に存在している。こうしたクローンペットは必要だろうか。
みなさんはどうですか?
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